※表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。

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PORTFOLIO OVERVIEW(25 July 2017)
今週のドルのネットポジション(-3.9%)は先週(-4.6%)とほぼかわらないサイズのショートを維持する。各通貨におけるロング・ショートの変更もない。従って全体観も変わらず、である。すなわち、強い景気サイクルとFEDによるいち早い出口政策といった米ドルのポジティブな面は相当程度後退している。それらはすでに織り込み済みで、むしろやや過大評価の域に入っている。ドルの短期的なラリーはそれほどあり得ない話ではないが、一段のドル高というのはかなりハードルが高い。

ロングサイドの変更はほとんどなく、北欧通貨に大きなロング・ポジションを維持、そしてそれに次ぐのが円の12.6%ロングである。ユーロは相対的な成長要因が若干低下した分だけポジションを調整した。ユーロはドルに対して急伸しているが、われわれがバリュエーションを測る際に使用している貿易加重ベースではまだそれほどの上昇ではない。よって、最近の上昇にもかかわらず、われわれはユーロが割高だとは判断していない。

ショートに関しては、先週は英ポンドが最大のショートだったが、今週は豪ドルが最大のショートになった。豪州のデータはまちまちだが、英国は小売りの良好さが、相対的な経済の低迷ぶりを打ち消して余りある。現在の水準の豪ドルは割高で、明らかにショートに分があると判断している。

ここもとのユーロの上昇は実質的なECBのテーパリング期待が背景である。FEDが2回利上げし、バランスシート縮小をにおわせても米ドルはユーロが上昇する以上に下落している。すなわちドルは実質貿易加重ベースで年初来8%下落したが、ユーロのそれは3%上昇したに過ぎない。この先、ユーロが上昇を続け(そしてドルが下落を続ける)主なリスクはユーロ圏のインフレであろう。もしもインフレが明確に上昇してこない場合、ECBは市場が期待するよりも長く緩和政策を維持するだろう。

DeepMacro

DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明

概要

DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。

キーファクター:

成長要因:

強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。

キャリー:

高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。

バリュエーション:

割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。

グローバル・リスク:

投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。

ポジション調整:

モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。

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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから