NYダウ: 25064.50 ▼134.79 (7/19)
NASDAQ: 7825.30 ▼29.15 (7/19)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場はトラベラーズ(TRV)やアメリカン・エキスプレス(AXP)などの冴えない決算が相場の重石となったうえ、欧州委員会のマルムストローム委員が米国がEUからの自動車輸入に関税を発動した場合に適用する報復関税のリスト作成を進めていると明らかにしたことで貿易摩擦への懸念が意識され下落しました。60ドル安でスタートしたダウ平均は146ドル安まで売られると一旦切り返し50ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、午後に入って再び下げ幅を広げ結局134ドル安の25,064ドルと6日ぶりに反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も29ポイント安の7,825ポイントと続落となりました。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比8000件減の20万7000件となり悪化を見込んでいた市場予想に反して改善し、1969年12月以来約48年半ぶりの低水準となりました。また、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は25.7と前月から上昇し市場予想も上回りました。6月の米景気先行指数も前月比0.5%上昇し市場予想を上回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、金融と電気通信サービスが1%を超える下落となりました。一方で不動産と公益事業の2業種が1%前後の上昇となっています。
4.個別銘柄動向
決算で1株利益が市場予想を下回ったトラベラーズが4%近く下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。また、決算で売上高が市場予想を下回ったアメリカン・エキスプレスも3%近く下げ、トラベラーズとアメリカン・エキスプレスの2銘柄でダウ平均を50ドル余り押し下げています。一方で決算が市場予想を上回ったIBM(IBM)が3%以上上げ、ダウ平均を30ドル余り押し上げました。ウォルト・ディズニー(DIS)もメディア大手のコムキャスト(CMCSA)が21世紀フォックス(FOXA)のコンテンツ事業の買収提案を取り下げると発表したことで1%を超える上昇となりました。ダウ平均構成銘柄以外では、決算発表で2018年12月期の売上高の見通しを引き下げたイーベイ(EBAY)が急落し10%安となりました。決算で預かり資産が2四半期連続で減少したことが明らかとなった信託銀行大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)も5%を超える下げとなっています。検査機器大手のダナハー(DHR)は決算で売上高などが市場予想を上回ったことで4%以上上げ上場来高値を更新しています。工具のスナップオン(SNA)も決算が市場予想を上回る増収増益となったことで9%を上回る上昇となりました。
5.為替・金利等
長期金利はトランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)の利上げについて「好ましくない」と述べたことで0.03%低い2.84%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ112円台前半で推移しています。一時は112円近辺まで円高が進む場面もありました。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安と円高を受けて軟調なスタートが予想されます。利益確定の売りが出やすいなかで日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)