1月に株価が上昇しやすかった銘柄とは

いよいよ本日12月30日で2016年の取引も最後となった。日銀のマイナス金利導入、大幅な原油安の進行、英国のEU離脱(Brexit)、トランプ氏の大統領選勝利など波乱に満ちた1年で市場はまさにジェットコースターのように上がったり下がったりしたが、日経平均はどうやらほぼ昨年末と変わらない水準で取引を終えそうだ。そしていよいよやってくる2017年。どのような1年となるのだろうか。話題の中心はおそらくトランプ次期大統領になりそうで、彼の掲げる政策が本当に実現されるかどうかが2017年のマーケットに大きな影響を与えそうだ。
2016年最後の銘柄フォーカスでは、「株価の季節性」に焦点を当てて1月に株価が上昇しやすい銘柄を調べてみた。具体的には、東証1部上場の全銘柄のうち過去10年間のデータが取得できた1,626銘柄について、12月末の株価と1月末の株価を比較し、銘柄ごとの1月の株価上昇回数を調べた。結果は以下の表のとおりとなった。

過去10年間ですべての年の1月に上昇した銘柄が1銘柄、上昇9回が9銘柄、上昇8回が26銘柄あった。また、反対に1度しか上昇していないのが11銘柄、2回が72銘柄あった。上昇回数の多かった銘柄は以下の表の通りである。なお、TOPIXは過去10年のうち1月に上昇したのは5回である。

表を見て特に目を引くのが、株主優待を設けている銘柄が多いということだ。10年間で8回以上1月に上昇したのは計36銘柄あるが、うち優待を設けているのは24銘柄と70%近くに達する。今回データを検証した1,626銘柄のうち優待を設けているのは642銘柄(約40%)であるから、上昇回数の多い銘柄の優待銘柄比率がかなり高いことがわかる。
上昇回数の多い銘柄に株主優待を設けている銘柄が多い1つの仮説として、2月末・3月末の権利確定時期に向けて特に個人投資家の権利取りの買いが入ってきやすいということがあげられるかもしれない。
また、もう1つ特徴的なのが「食」に関連した銘柄が多いということだ。過去10年すべて上昇したなとり(2922)は各種おつまみの製造販売を行っている。8回以上上昇した銘柄でも、寿スピリッツ(2222・菓子)、コロワイド(7616・各種外食)、モスフードサービス(8153・ハンバーガー)、王将フードサービス(9936・中華)、森永製菓(2201・菓子)、くらコーポレーション(2695・回転寿司)、ピエトロ(2818・ドレッシング)、ロック・フィールド(2910・サラダバー)、トリドール(3397・うどん)、第一興商(7458・カラオケ、アイリッシュパブ)、幸楽苑ホールディングス(7554・ラーメン)、元気寿司(9828・回転寿司)と食関連の銘柄のランクインが目立っている。

1月に上昇しやすい銘柄の業績や株主優待は

最後に、過去10年間で1月に9回以上上昇した銘柄のうち株主優待を採用している7銘柄について業績や優待内容をご紹介する。

なとり(2922・食料品) 
イカやチーズ、ナッツなどのおつまみ製品の製造販売を行っている。業績は着実な拡大基調で、株価は上場来高値圏にある。

寿スピリッツ(2222・食料品)
「お菓子の総合プロデューサー」として和菓子、ケーキ、チョコレートなど様々な製品を提供。業績好調で今期も会社予想で史上最高益更新見込み。

ぴあ(4337・サービス業)
チケット販売の最大手。セブン&アイホールディングスが大株主で協業を進めている。近年業績が急拡大中。今期は会社予想で小幅な減益見込みも、中間決算時点で営業利益の会社予想に対する進捗率は70%を超えており上振れ余地もありか。

コロワイド(7616・小売業)
居酒屋「甘太郎」などを展開するほか、M&Aに積極的で、アトム(7412)、レインズインターナショナル、カッパ・クリエイト(7421)などの外食関連企業をグループ会社に持つ。

モスフードサービス(8153・卸売業)
「モスバーガー」を展開しておりハンバーガー業界で2位の地位。11月7日に今期の営業利益予想を従来の35億円から44億円に上方修正するなど業績は好調に推移。

東祥(8920・サービス業)
スポーツクラブ運営を主軸に、ホテルや不動産も手がける。今期最高益更新見込み。

王将フードサービス(9936・小売業)
中華料理店「餃子の王将」を全国に展開。2016年10月に直営店売上高が過去最高を更新したと発表した。