今週の最大のイベントは、20-21日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)である。25bpsの利上げが見込まれているが市場では織り込み済み。インフレ加速の兆候が見られないので、本来ここでの利上げの必然性は高くないが、市場の織り込み度が非常に高いので、反対に利上げ見送りではせっかく落ち着きを取り戻しつつある市場を却って混乱させるのでFRBとしては粛々と利上げを実行するだろう。
市場の焦点はすでに今後の利上げのペースに移っている。昨年12月時点で2018年末のFF金利のドット・プロットの中央値は2.125%だった。現在の政策金利の誘導レンジ1.25-1.50%、すなわち1.375%から25bpsずつ3回の利上げを見込んでいた。これがどうなるか。中央値が12月と同じ2.125%で変わらなければ今年の利上げは今回の利上げを含めて年3回のままだ。中央値がもしも2.375%になれば利上げが4回ということになる。
今年の利上げは3回のままか4回に加速か。これについてはBloombergが非常に納得的な見方を報じていた。
<昨年12月に公表されたドット・プロットで、2018年に4回以上の利上げを見込んだ当局者は16人中4人だけだった。予想中央値を現行の3回から引き上げるには、さらに4人が加わらなければならない計算だ。>(Bloomberg 2月15日)
12月のドット・プロットで2.125%のドットは6人で、うちひとりはイエレン前議長だろう。今回は確実にそのひとつが減るから、前回2.125%にドットを打った5人のうち4人が見通しを引き上げなくては、中央値は上方にシフトしない。それは、Bloombergいわく、「中道派とされる当局者のほぼ全員が見通しを引き上げるという、劇的な変化」だから、可能性は低いというのが記事の趣旨で、僕もそう思う。
というわけで、今回のFOMCでは利上げペースが加速するという思惑は高まらず、安心感から米国株式市場にとってはポジティブな結果となるだろう。問題はそれでドルが一段と安くなった場合、日本株にとっては重石だが、利上げペース据え置きで米株高というリスクオン地合いでは円高もそれほど進みにくいだろう。
もうひとつの重要イベントは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで19-20日に開催される主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議である。保護貿易主義に対する相互けん制の場になればよいが期待薄だ。米国はG20で鉄鋼・アルミニウム産業への補助金など中国の不公正な政策運営を主要議題として取り上げる考えを明らかにした。自らを正当化しようという魂胆だが、賛同は得られにくいだろう。23日に鉄鋼・アルミニウムへの輸入制限開始を控え、中国による知的財産権侵害への報復措置として追加関税も検討中だと伝わる。こうしたなか、G20でどこまで有効な議論ができるか疑問である。
今週は週央が春分の日の祝日で市場は休場。FOMCの結果が分かるのはその祝日明けだから、週の前半は様子見でほとんど動かないだろう。
今週の日経平均は25日移動平均を意識したもみ合いで推移するだろう。レンジは21,500円~22,000円とする。