週末に或る人と、久し振りにドリフトの話をしました。ドリフトにも、例えば運用のスタイルが変化していくという意味のドリフトもありますが、話をしたドリフトは、車のドリフトです。カーブに突っ込んでいく、ヒール・アンド・トゥでブレーキを踏みながらシフトダウンする、ハンドルを切る、後輪が滑る、ハンドルでカウンター(逆方向に回すこと)を当て、車の進行方向を調整する、そしてカーブを抜けていく。その一連のアクションのドリフトです。

最近、高性能車での、運転制御不能となって、即ちカーブを曲がり切れなくて、どこかに突っ込んでしまう事故のニュースを何度か聞きました。これは高性能車であるところがミソだと思っています。どんな車でも、重さがあって進行方向があってその進行方向を変えようとすれば、外側に飛び出そうとする力が発生します。それをすっ飛ばさずに留めているのは、タイヤと道路の間の摩擦力以外はありません。正確には、タイヤの接地面積に応じた摩擦力のみです。

すっ飛ぶ手前までの間、いわゆる破綻するまでの間は、高性能車はあの手この手で制御します。サスペンションが優秀で、様々なダイナミックな調整をして、何の問題もないように安定した走行を演出したりします。しかし最終的には、同じ重さのものが、同じ速さで、同じカーブを曲がれば、外側に飛び出そうとする力は同じです。そしてタイヤの接地面積に応じた摩擦力をそれが超えれば、車は道路から離れてどっかへ飛んでいきます。高性能でない車だと、その限界に近づく前から、ガタガタと、或いはねじれて、いかにも危なげになり、ドライバーに危険信号を送り、ドライバーは恐くなって自制することになります。或いは高性能車でも、常に限界を試してドリフトをさせているドライバーであれば、安定していても限界に達する前にその限度を知り、自制することになります。そういうアクションが取られない場合に、車はすっ飛ぶのです。ま、そんな話をしました。
「松本さん詳しいですねぇ・・」と云われましたが、私はこういう話は実は大好きなんです!