少し前、ある銀行で不動産購入の資金決済を行いました。こちらが送金してから売主さんが着金を確認するまで、待つこと30分余り...売主さんや不動産仲介業者さんたちを相手に、世界の金利からアパートローンの話まで、持ちネタを全て出し切りました。
それでも話題が尽きたので、送金元の銀行に「あとどれくらいかかりますか?」と聞いたところ、さらりと「こちらの送金は終わっています」とのお答え。銀行の場合、相手先銀行に送る操作さえしてしまえば、あとは自分の仕事ではないというスタンスです。相手の手元に届けて初めて業務が完了する宅配とは対照的です。
最近の銀行の経営計画では「デジタライゼーション」が柱になっています。様々な顧客取引を機械的かつ即時に実施することで、数百億円の効果を出すと説明されます。
しかし現実には、送金という一般業務ですら極めてスローです。すぐに変更するのは制度上難しいとしても、顧客を不安なまま待たせる今の慣行を疑問に思わないようでは、とても顧客目線に立っているとは考えられません。「デジタライゼーション」が銀行業務の抜本改革に繋がると評価され、銀行株のテーマとなるまでには、まだまだ時間がかかる気がします。
もっとも、私自身も極めてアナログです。先週ある銀行の小規模ミーティングに参加した際、出席していた7人のアナリストの中で、紙とペンでメモを取っていたのは、私を含む2名(おそらく年齢で上から2人)のみ。あとの5名はPCやタブレットでした。銀行を評するより、まず自らをデジタライズするべきかと猛省する今日この頃です。