ついに来てしまった、と思った人もいたのではないでしょうか。なかなか交換所の登録ができないことが不安視されていたコインチェックが、1/26に仮想通貨NEMの紛失を発表しました。
損失は発表時点の時価で約580億円(補償額は460億円)。NEMの世界時価総額が1兆円程度なので、その約5%もの金額がハックされた計算になります。
これまでも、世界の仮想通貨交換所のハッキング被害は相次いでいます。先月19日には、韓国のYoubitがハッキングで自社の預かり資産の17%を失い、親会社のYapianが破産を申請しました。補償を発表したコインチェックと異なり、Youbitは顧客資産を25%カットすると発表しています。
ハッキングの深刻さが改めて浮彫りになった今回の事件で、仮想通貨市場はどうなっていくのでしょうか。金融庁は今日コインチェックの行政処分を発表すると報じられています。さらに、全ての仮想通貨交換業者のサイバー対策、顧客保護体制等の再点検を求めることになるでしょう。
しかしそれだけでは、市場が落ち着くとは思えません。本来は、各社のサイバー対策のさらなる充実が最も重要だと思いますが、外からは安全性はなかなか見えにくいのが問題です。このため、市場の安心に向けてのカギを握るのは、顧客保護の仕組み作りだと思います。既にビットフライヤーは、三井住友海上とともにサイバー保険を提供しています。コインチェックも、昨年6月に損保会社と共同で不正ログイン損失補償の仕組みを発表していましたが、まだ開始していませんでした。
また、三菱UFJ信託が4月にも仮想通貨資産を受託することで保有者保護を図ると報じられていますが、その動向も注目されます。
いずれにしても、これらの整備には時間がかかりそうです。それまでの間、投資家として取れる対策としては、様子見とするのか、あるいは、できるだけ正確な情報を集め、相対的に安心なルートで取引をすることでしょう。
「なぜコインチェックがいいの?」というCMでは、その答えが示されませんでしたが、さまざまな仕組みが確立するまでは、各投資家がそれぞれ「なぜこの取引所にするのか?」を慎重に検討することが求められるでしょう。