思い掛けず、管制官と機長の間のやりとりを聞く機会がありました。先日乗ったアメリカの航空会社の飛行機が、離陸時と着陸時のそれぞれ30分間、このやりとりを機内放送のチャンネルで公開していたのです。これは搭乗機の機長と管制官のやりとりだけでなく、その時間帯に飛んでいる全ての飛行機の機長と管制官のやり取りが聞けるものでした。私はずっと聞き入ってしまったのですが、ひとつひとつのやり取りはかなり短いもので、あんな誘導で離着陸が出来るのか不思議に感じましたが、当然高度にコンピュータ化されたシステムが主で、管制官の指示は副であるので、それでも足りるのでしょう。
しかし驚いたのは、その夥しい通信の数、即ち同時間帯に付近を飛んでいる飛行機の数です。卓球のダブルスのラリーのように、ひっきりなしに会話が飛び交います。管制官の方は、流石に長時間は注意を集中できないのか、数分で次々に交代していきます。成田空港の年間発着数は約20万回とのことですから、毎日500回以上。稼働時間が15時間として、毎時30回以上になります。管制官とのやり取りは、離陸と着陸は別系統になっているようでしたが、そうすると着陸だけで毎時15回として、4分に1機の着陸を誘導することになります。ふむ。
しかし考えてみると、着陸前で時速500キロぐらいに減速しているとして、4分の差と云うのは30キロ以上の差。シロウト考えでは、それなら何とかなるのかなぁ、とも思えます。しかし何よりも驚いたのは、そんなことよりも、このような管制官とのやり取りを、無検閲でオープンに、リアル・タイムで聞かせてくれたことです。しかも乗客は誰でも聞くことが出来ました。アメリカの、こう云う情報公開の文化は、異民族が多く同居する社会で、自己責任を取っていくための素地となる条件なのだと推測しますが、こう云ういい点は、日本などにももっと広まった方がいいと思ったのでした。