遂に仕組み債を始めました。個人的にはかつてどっぷりと浸かって、隅々まで知り尽くした金融商品です。当社でもようやく仕組み債を扱えるようになったことに感慨を憶えます。しかし皆様は仕組み債って何か御存知でしょうか?債券の一種ですが、通常よりもクーポン(利子)が高くなっています。なんでクーポンが高くなるかと云うと、どこかでリスクを取っているのでその見合いとしておまけが付いてくる訳です。

リスクの取り方には色々ありますが、
[1]とってもいいリスクを取る。
[2]起きそうもないリスクを取る。
[3]リスクと現実に齟齬があり実体以上に高いリスクと評価されているリスクを取る、などの工夫があります。

[1]は、例えば或るものを「いくら以上になったら売ろうと思っている」場合に、「いくら以上になったら売ります」と契約することにより、「売るリスク」を取り、その見合いとしてクーポンを高くしたりします。このケースでは、そもそも売るつもりな訳ですから、この人にとっては新たにリスクを取っていることになりません。これが一つ典型的な手法で、「気持ち」や「覚悟」をお金に替えられるので、実際に機関投資家などの間でもよく使われています。

[2]は分かり易いので割愛して、[3]を説明しますと、例えば為替の将来水準に関するものがあります。
短期金利が低い国(例えば日本)と短期金利が高い国(例えばオーストラリア)の間の為替交換レートは、将来期日で見ると円高になります。これは円を豪ドルに変換して豪ドル預金をして、満期日に元本と利子をまとめて円に戻す約束を今日すると、同じ期間円預金するのと同じ経済効果にならないと裁定が働いてしまいますので、将来為替は円高になっているのです。

では、実際に円高になるかと云うと、過去の統計で見ると、中々その水準までは円高になりません。
この現象は、世界中の為替交換レートについて過去数十年に亘って調べたことがあるのですが、7〜8割方は、計算される将来為替水準までは為替は動かないことが確認されています。

何故こんな事が起きるのでしょう?これは短期金利を決めるのは各国の中央銀行ですが、彼らが自国の為替レートの防衛などに思惑があり、例えば上の例で云うとオーストラリアに於いては、実力以上に短期金利を高く誘導している可能性があるからです。このような場合に、「円高になるリスク」を取ると、実体以上、或いは統計上の可能性以上に取ったリスクを高く評価され、結果、お得なクーポンを享受できる可能性があります。

何やら難しい話ですが、仕組み債とは、こう云う歪みを取りに行くことによって、より良いリターンを上げようとするものです。今まで仕組み債は、個人投資家の方には中々提供されてきませんでした。仮に提供されても、最低売買単位が大き過ぎて、中々手が届きませんでした。今回私たちは、そんな仕組み債を、買いやすいサイズでお客様に提供できるように致しました。是非御覧になってみて下さい。