高校に於ける履修漏れが問題となりましたが、それが主に世界史で起きているというのは興味深いというか由々しき問題だと思います。そもそも履修問題が起きた背景としては、学校経営の難しさ→進学率を高めることで少しでも有利に→受験科目に集中、という、教育上の問題というよりももっと打算的な問題があるように思われます。本来教養の習得が目的であり、受験は結果であるべきの所、本末転倒しているのではないでしょうか。加えてそのターゲットとなり削られていたのが世界史であったとは、さもありなんです。

そもそも世界史は、通常古代から授業を始めますから、我々にとって最も大切な、「何故世界大戦は起きたか、アジアの中での日本の立ち位置、現代世界情勢」などを一切勉強しないで、或いは最後に駆け足で触れて終わってしまうことが多いと思われます。現代史から始めて段々古い時代に遡って教えればいいと思うのですが、そういう工夫もなく、それで良しとしてきたことは大きな怠慢だと思います。

国際化が進む中で、現代世界史を知らないで、どうして世界市民になれるでしょうか?日本人が国際会議にほとんど出席しないこととも通じる問題ではないでしょうか。履修問題は、日本が国としてもっと真剣に考えなければいけない問題を示唆していると思います。