昨晩、生まれて初めて来日した或る友人と杯を交わしました。彼は17年前の天安門事件の時の学生リーダーのうちの一人です。事件後アメリカに亡命し、経済学士と経済修士と法務博士の3つを同時に取得するという荒技を達成し、今は投資ファンドを率いています。

私と彼とは6年前にスイスで知り合いました。中々の好青年で、いつもニコニコしていて、周りの人にも気を遣うのですが、何処かにゴツッとした硬い筋があると感じていました。二人で飲みながら、色々な話題に飛んで和やかな会話を楽しむ中で、彼の硬さの形に、よりリアルに触れることになりました。彼の投資ファンドの経営・運用スタイルを聞くと、「全ては自分一人で決める」と云うのです。
更に、「他人と一緒に決めようなんて思わない、つまらないじゃないか」と、極普通に云い切りました。

これは興味深いことです。アメリカの大学で経済や法律を勉強してますから、民主的なプロセスとか、牽制の意義とか、そう云ったものはよく理解している筈です。そもそも、民主化運動のキーマンだった訳ですから。恐らく、彼の心の中のテンション(緊張)は、未だに緩んでいないのでしょう。17年。長いようで、未だ未だ短い年月なのかも知れません。友人として、これから長く見守っていきたいと思います。