先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は続落、創業板指数と香港ハンセン指数は反落となりました。中国本土市場はメーデーの祝日につき5月1日(月)が休場となり、週4日の取引となりました。上海総合指数ですが、週を通して軟調な値動きに。まず、5月2日(火)は4月のCaixin中国製造業景況感指数が50.3と、市場平均予想の51.3や3月実績の51.2から低下し、6ヶ月ぶり低水準となったことで中国経済のスローダウンが懸念されて軟調な株価推移となりました。また、現地の週刊誌で安邦保険による、投機的取引などについての疑惑を報じられ、関連銘柄が下落したこともマイナスでした。

3日(水)も中国人民銀行(中央銀行)が機関紙を通じて金融機関の管理監督を強化することを再度発表したことが市場心理を悪化させて続落。4日(木)は4月のCaixin中国 サービス業PMI事業活動が51.5と、3月の52.2から低下したことで、再び中国経済のスローダウンが意識されたことや原油価格の下落で石油株が軟調だったことで3日続落。さらに5日(金)は中国当局が深センの証券会社に対して顧客から資金を集めて一括運用する資金池(キャッシュプーリング)業務の禁止を通達したことから、金融機関の監視強化と金融レバレッジ抑制が懸念されて4日続落となりました。結局、上海総合指数は前週末比1.6%安の3,103.038ポイントで引けています。

一方、香港市場ですが、こちらは5月1日(月)がメーデーの祝日、5月3日(水)が仏誕節の祝日でそれぞれ休場だったことから、週3日の取引となりました。香港ハンセン指数ですが、5月2日(火)は世界的な株高の影響を受けて小反発からのスタートとなりました。中でも米国のナスダックが好調なことを受けて、IT、ハイテク株が堅調でした。しかし、5月4日(木)と5日(金)は中国当局の金融機関の監視強化と金融レバレッジ抑制が懸念され、本土金融株が大きく下落したほか、資源価格の下落から資源株が軟調となり、香港ハンセン指数は前週末比0.6%安の24,476.35ポイントで引けています。なお、本土系金融株の下落が厳しかったことから、香港H株指数は前週末比で2.9%安の9,926.26ポイントとなり、1万ポイントを割り込みました。

世界的な株高にもかかわらず、軟調な中国株ですが、引き続き中国金融当局の金融機関に対する、規制強化がどの程度のものになるのかが焦点となりそうです。中国の経済指標ですが、5月8日(月)に4月の輸出<市場平均予想+11.3%、3月実績+16.4%>、5月10日(水)に4月の消費者物価指数<市場平均予想+1.1%、3月実績+0.9%>がそれぞれ発表されます。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)