三省堂の新明解国語辞典によると、社会主義は「生産手段を社会全体の共有とし、生産物や富を公平に分配することによって、階級差や貧富の差が無い、平等な社会を実現しようとする主義(社会体制)。」とあり、資本主義は「資本家が利益追求のために労働者を使用し生産を行う経済組織。」とあります。
一般的には、社会主義というと低成長国家に於ける体制で、資本主義というのは高成長期に於けるイケイケドンドン体制のようなイメージがあります。一方で日本ほど完成した社会主義はないとも云われ、ジョークとして「中国人曰く、『日本人に近付いてはいけない。社会主義は移るから。』」と云うのもあります。
最近思うのですが、社会主義と資本主義は一般のイメージとは正反対で、右肩上がり経済で成長力がある間は社会主義もうまく行き、成長力が落ちてくると資本主義でないとやってられないのではないかと。日本の戦後50年間は、社会主義的な全国体制で高成長を達成しました。そしてこの10年間は、歪んだ「資本主義というラベルの貼られた」社会主義を真の資本主義に換えていくプロセスだったのではないでしょうか。
最近起きている様々なスキャンダルも、その結果あぶり出されてきた現象かも知れません。この意味に於ける資本主義は、必ずしも万能ではありません。ひとつ間違えると、当面の効率性・収益性のみで物事が決せられ、社会・経済は奥行きを失い、却って脆(もろ)くなってしまうでしょう。新しく正しい秩序の模索は、今、至る所で起きているのかも知れません。