NHKの次はフジテレビ、巷ではメディアの経営や支配の話が注目を集めています。そもそも、マス・メディアの所有・経営形態とは一体どうあるべきなのでしょうか。私は、メディアは民主主義・自由主義社会に於いて、極めて重要な役割を果たしている、或いは果たすべき存在だと考えています。

メディアの元祖・活版印刷の起源は、宗教改革と深い関係があります。教会が独占してきた教えを印刷によって広く流布することにより、改革の素地が作られました。ジェファーソンの独立宣言書も、輪転機によって多く刷られて、独立革命の強い基礎となりました。メディアは、旧体制・既存権力の矛盾を広く民衆が知る手段となり、即ち市民革命の道具として働いたのです。

マス・メディアの所有・支配・経営形態は、一歩間違えると大変大きな危険を孕んでいます。民主主義を担保する筈の道具が、大本営発表として全く逆の目的に利用されたことを私たちは憶えています。メディアの支配形態は斯くも重要です。政治家の関与、個人の影響力、メディアを支配するものは経営者か、株主か、或いは世論か。そもそも株式会社、公開企業という形がもっとも理想的であるのか否か。

これらの問題は、簡単な問題ではありません。私も、クリアな回答を持っていません。ただメディアというものは、民主主義の文脈に於いて、他の会社とはちょっと違う存在ではないか。そのことが気になっています。