退職金税制の優遇措置の変革が検討されています。基本的な方向としては、控除額を減らし、しかも税率を上げようというものです。現在控除額は50%、税率は分離課税で、例えば20%ですから、この場合実効税率は10%になります。
今後、この実効税率が上昇する可能性が大です。このことはどのような影響をもたらすでしょうか?退職金税制優遇は、一つの会社に長く勤めるこのとの大きなインセンティブになっていた筈ですから、今後人材の流動化が進むでしょう。これは日本経済にとってはプラスです。また、優遇税制がないのならば、わざわざ自分の稼ぎの部分を会社に留保する意味は減りますから、働いたらすぐに現金で払い出して欲しいという声が高まるでしょう。払い出されたお金は、縮小化が進み将来が不安な年金や、極めて低金利の預貯金を避け、少なくともその一部分は株式市場に流れてくるでしょう。これは間接金融から直接金融への移行という政策に合致します。
退職金税制の変更は、ともすると外資系いじめだとか議論が矮小化されがちですが、実はこのような裏があると私は思っているのですが、考えすぎでしょうか?