事実は小説よりも奇なり。最近の紙上を賑わしていることは、正にそのような感があります。ダイエーが独自再建案を一転断念し、再生機構に支援要請。既に二回の金融支援を受けている会社が、どうしてここまで周囲の圧力に抗して粘ることが可能であったのか。今回こそ本格的な再建となれば、まして外資系がスポンサーとして多く名乗りを上げている中で、株主責任の追及は流石に行われると思うのですが、その行方は五里霧中です。また、西武鉄道の件も驚きです。久保利英明弁護士は「株式会社の体をなしていない」とコメントしたそうですが、これら二社がオーナーである球団がパ・リーグのプレーオフをし、そのパ・リーグに新規参入しようとするライブドアと楽天は、その事業継続性についてプロ野球組織から今日審査を受けている。何とも不思議な話です。巨人軍にまつわる話も、その真偽は定かではありませんが、やはり不可解です。大きな力を持った勢力が旧体制となり、その現実と記憶のギャップが巨大化する。そこまではよくある話です。問題はそのギャップを継続的に埋める仕組みがあるか否かです。開いたギャップは、岩盤の歪みが突然元に戻る時に地震を起こすように、市場や社会の混乱要因となります。今回の群発性地震の行く末を暫くは観察したいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。