先週の中国株ですが上海総合指数と深セン総合指数、香港ハンセン指数は続伸、創業板指数は反落となりました。中国本土株は週初から堅調な値動きとなりました。12月21日(月)は従来の中国政府による政策期待に加え、中国証券当局がIPO制度について、現在の認可制から登録制への移行を全国人民代表大会(全人代)で決定するように提案したことが、当局が中国本土株式市場を安定的であると見ている証拠だとみなされて市場心理が明るくなりました。個別では証券株が買われて相場を牽引。また、22日(火)は中央経済工作会議で不動産在庫解消への方針などが打ち出され、関連銘柄が上昇して相場を支えました。

さすがに12月23日(水)は利益確定売りが出て反落となり、24日(木)は中信証券が信用取引で3億元を超える焦げ付きを出したことや、石炭火力発電所による電力卸売り価格の引き下げが発表されたことなどから、証券株、電力株に売りが出て続落となりました。ただ、24日(木)は終盤に切り返して引けており、25日(金)も上海証券取引所が2016年に新興企業向けの市場を立ち上げると報じられたことを材料に証券株が上昇し、小高く引けています。結果、上海総合指数は前週末比で1.4%高となっています。

一方、先週の香港株はクリスマス休場を含む週4日の取引となりましたが、香港ハンセン指数は4日続伸と強い値動きの一週間となりました。週初は中国人民銀行が中期貸出制度を通じて市中銀行に資金供給をしたことが材料となり本土金融株が上昇して相場を牽引。その後も中国政府による景気刺激策への期待感が相場を牽引した他、週末にかけては原油価格が反発したことから中国石油天然気(00857)などの石油株が買われた他、本土と同様にIPOが認可制から登録制へ移行される見通しであることを材料に本土証券株が買われました。

なお、先週は大きな経済指標の発表はありませんでしたが、27日(土)には11月の中国工業セクターの企業利益が前年同月比1.4%減になったと発表されました。10月は4.6%減でしたので、これは市場心理にとってプラスに働くと思います。今週は年内の最終週ですが、香港市場は12月31日(木)が半日立ち会いで、1月1日(金)が休場。中国本土市場は1月1日(金)が休場となります。また、経済指標ですが、1月1日(金)に12月の中国公式製造業景況感指数<市場平均予想49.8、11月実績49.6>と非製造業景況感指数<11月実績53.6>が発表される予定です。

コラム執筆:戸松信博