先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、香港ハンセン指数は反落、創業板指数は反発となりました。まず、11月8日(日)に発表された中国の10月の輸出は6.9%減と9月実績の3.7%減や、市場平均予想であった3.2%減を共に下回りました。また、輸入についても18.8%減と9月実績の20.4%減よりはマイナス幅が小さかったものの、市場平均予想の15.2%より悪い結果となりました。ところが、中国本土株は先週までの好調な相場の流れを引き継いで、金融緩和や景気刺激策への期待が高まったと、輸出入の悪化をプラスに受け止めて、週初は堅調なスタートとなりました。

しかし、11月10日(火)は中国政府が不正取引の取り締まりを続けていることが投資家の心理に影を落とし、利食い売りに押されて小反落。その後は横ばいの動きで推移したものの、13日(金)に大きく下落しました。そのきっかけとなったのは11月12日(木)に発表された10月の人民元建ての新規融資額が5136億元と9月実績の1兆500億元のおよそ半分に留まり、市場予想の8000億元を大きく下回ったことです。社会融資総量も前月の1兆3000億元や市場平均予想であった1兆500億元を大きく下回る4767億元となり、企業の資金需要が低迷しているとの観測から中国経済失速への懸念が高まりました。なお、その他の中国の経済指標ですが11月11日(水)に発表された10月の小売り売上高は11.0%増となり、市場予想の10.9%増や9月実績の10.9%増を上回りました。ただ、10月の鉱工業生産は5.6%増となり、市場予想の5.8%増や9月実績の5.7%増を下回りました。ここからも、消費は予想に対して比較的堅調な様子ですが、企業の状況は予想よりも悪い状況となっていることが伺えます。

一方、香港株も週を通して軟調な動きが続きました。まず、原油価格の下落によって中国石油(00857)や中国石化(00386)といった石油株が軟調に推移し、相場の足を引っ張りました。また、先週も指摘しましたが、香港ドルは米ドルにペッグしているため、米国が利上げに踏み切れば、香港も利上げをせざるを得ないため、利上げへの懸念が根強く、相場の悪材料となっています。12日(木)は中国政府が住宅購入に関する支援策を出すとの期待が高まり、大幅上昇となったものの、13日(金)には中国本土株が下落したことや米国株が軟調に推移したことを嫌気して、早くも反落してしまいました。中国本土株は利食い売りが進みやすいタイミングである一方、米国株が大きく調整している上、フランスのテロ事件などもあり、今週も引き続き調整含みの相場展開が続く可能性があります。

コラム執筆:戸松信博