人気があるのか嫌われているのか分からない、いいものなのか悪いものなのか分からない、そんな複雑な金融商品が個人向け国債です。どういう立場で見るか、どういう条件の中で考えるかで自ずと答えは変わってくるのですが、私は一般的に言って個人にとっての金融商品としてはいい商品だと考えています。一納税者、一国民としては、国の財政状態を考えるに、この債券の発行は問題が多いと思います。国にとってその発行に問題が多いと思われる債券を買うことも問題が多いかも知れません。何やら禅問答のようです。しかし商品性を見ると、デフレが進んでも元本は減りません。一方、インフレになると金利が上がりますが、この債券は変動金利、しかも長期金利に連動した変動金利なので、インフレ進行に合わせて利子が増えるでしょう。デフレになってもインフレになってもそれなりにうまく回る商品です。日本国の財政が心配な場合、或いは円安が心配な場合は、確かにリスクがあります。しかし少なくとも今持っている銀行預金に比べると、信頼性においてもインフレ対応においてもこの債権の方が優れていますし、郵便貯金と比べてみても、インフレ対応で優れています。即ち、預金・貯金からの入れ替えであれば、とてもメイク・センスな訳です。国民としての心配は、財務省に聞きましょう。詳しくはこちらをご覧下さい。→https://www2.monex.co.jp/j/kokusai/index.html
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。