東証が手口の全面非公開を決定しました。果たしてこれはいいことか悪いことか。いろいろな説があるでしょう。手口が見えなくなると思惑による売買がなくなるので、より正しい価格形成が期待できる、という説がありますが、私はこの説には懐疑的です。きちんとリスクを取って売買されていれば(買ったらちゃんとお金を払うということです)、思惑による売買も立派な価格形成の一部分になり得ると私は考えています。透明か不透明かという点については、一部にだけ公開するのは言語道断ですが、全面的に公開もしくは非公開するのであれば、透明性は同じではないでしょうか。
一番気になるのは流動性です。市場にとって最も重要な要素は、私は流動性だと思っています。手口が見えるからトレードしてみよう、という手口公開すると増える流動性もあるでしょう(これはプロ、個人、双方にあり得ます)。一方、手口が見えてしまうので(即ち取引主体の匿名性が担保されないので)売買を控えようという、手口を公開している為に減少している流動性もあるでしょう(これは主にプロの事情でしょう)。問題はこの2つの流動性のどちらが大きいかということです。私は短期的には前者が大きいことはあっても、長い目で見ると後者の方がきっと、しかも遥かに、大きいと思っています。まぁいずれ明らかになっていくことでしょう。