先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反落となりました。中国本土株は7月23日(木)まで6日続伸と好調でした。週初に政府が行っている相場の下支え資金が引き上げを準備しているとの報道がありましたが、当局がこれを否定したことで、逆に安心感が広がりました。上海・深セン両市場の売買代金も概ね1兆2000億元~1兆4000億元の間で推移し、戻り売りをこなしながら、緩やかに上昇。上海総合指数は心理的な節目である4000ポイントを上回りました。

しかし、6日続伸を迎えたあとの24日(金)はさすがに戻り売りの圧力が更に大きくなって反落。この日はその他に、材料が2つ出ました。1つは国際通貨基金(IMF)が中国に金融部門の改革を催促する中で、中国の株価対策を解除して市場に委ねるようにと促していると報道されたことです。ちなみに、中国はIMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨への人民元採用に向けて取り組んでいるところで、今回のコメントはこれを見据えたものとなります。もう1つは同日に発表された7月の中国製造業景況指数(PMI)速報値が48.2となり、6月実績の49.4や市場平均予想の49.7を大きく下回り、2014年4月以来の低水準に落ち込んだことです。なお、中国製造業景況指数(PMI)については、調査会社マークイット社が算出していますが、HSBCとのスポンサー契約が切れ、中国の経済メディアの財新が新たなスポンサーとなっています。

一方で香港株は反落となっています。こちらの大きな理由は3つあります。1つは香港の機関投資家が中国本土株への追随に慎重になっていること。2つ目はドル高と原油価格下落によって米国企業の2015年第2四半期の決算が不調となり、国際的に株式市場が軟調であったこと。3つ目は、前述にもありますが、7月の中国製造業景況指数(PMI)速報値が予想よりも悪化し、中国の景気減速が懸念されていることです。加えて言えば、中国の景気減速懸念で深刻な商品価格の下落が引き起こされており、世界的に株価が下落し、その下落の流れの中に巻き込まれている一面もあります。

以上、香港株は中国経済の見通しに影響を受けることになりそうです。今後、発表される経済指標ですが、7月27日(月)には6月の中国工業企業の利益(前年比)が、8月1日(土)には7月の中国公式製造業景況指数(PMI)ががそれぞれ発表されるため、注目です。

コラム執筆:戸松信博