埼玉県警が昨日、志木市にあったいくつかの道路標識について、公安委員会の決裁を受けていなかったという理由で無効とし、かつその標識の違反者に対する行政処分なども取り消しました。この論点は昔からあるもので、「怒れ!ドライバー」というような名前の本にも20年ぐらい前から書かれていました。はっきりは覚えていませんが、確か法律で決められた原則を超えてクルマの運行を制限し、かつ警察が違反者を取り締まれるので、国民の権利を守るために公安委員会(各自治体の首長が議会の同意を得て民間人を任命)が各地域の交通規制などを最終的に認定し、道路標識の設置を承認し、標識の裏には承認番号を書き、警察によってルール決めと取り締まりの両方が行われるという専横が起きないようにする、といった趣旨だったと思います。
先述の本には、標識の裏に承認番号が書かれていなければその標識は無効で、従ってそのような標識に違反しても罪にはならないと書かれていました。大学生の頃のある時、私は友人の運転する車の助手席に乗っていたのですが、右折禁止の標識がビルの工事現場の足組で見えにくくなっており、友人は右折し、待ち構えていたパトカーに捕まりました。私は標識の裏を見て、承認番号が書かれていないことを発見し(工事で一旦倒れて、業者が勝手に急いで立て直し、そのため承認番号が書かれていなかったようです)、この規制も違反チケットも無効だと主張したのですが、警官は聞いてくれませんでした。後日、友人を助けようと思い、警視庁内にある公安委員会まで抗議に行ったのですが、出てきた人(警視庁の人だったと思います)は最初は丁寧だったのに、途中で一旦私の名前と住所を聞いて帳面に記載するなり高圧的になり、私は恐くなって這々の体で逃げ出して来たことを思い出します。その頃に比べると随分警察も変わってきたなぁと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。