夏バテ気味です。日本の夏はどうもいけません。暑くて、湿気も高く、寝不足になりがちで、肉体的な活動も、精神的な活動も阻害されます。クーラーの出現によって、世の中の外気は更に温度が高くなった気がします。しかしこのような夏バテによる活動低下は日本古来のものではないでしょうか。例えば古今集には夏の歌が少ないのですが、いい歌は更に殆どありません。『夏歌』に収められた歌のうち、8、9割はほととぎすの歌であり、好きな歌というと、「夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらん」(『古今和歌集』 巻第三 夏歌)ぐらいしかありません。ほととぎすは初夏、5月頃の鳥ですし、次に多く出てくる題材は晩夏から秋にかけての虫の鳴き声であり、真夏の期間がごっそりと抜けていて、その間はろくに創作活動をしていなかったのではないかと思われます。徒然草の中でも「家の作りやうは夏をむねとすべし」とあり、夏を如何に無難に乗り越えるかが、昔から日本の生活の大テーマだったことが分かります。私は暑いと氷を食べ、アイスキャンディーを食べ、サイダーを飲み、そして更に具合が悪くなるということを毎年懲りずに重ねています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。