夏バテ気味です。日本の夏はどうもいけません。暑くて、湿気も高く、寝不足になりがちで、肉体的な活動も、精神的な活動も阻害されます。クーラーの出現によって、世の中の外気は更に温度が高くなった気がします。しかしこのような夏バテによる活動低下は日本古来のものではないでしょうか。例えば古今集には夏の歌が少ないのですが、いい歌は更に殆どありません。『夏歌』に収められた歌のうち、8、9割はほととぎすの歌であり、好きな歌というと、「夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらん」(『古今和歌集』 巻第三 夏歌)ぐらいしかありません。ほととぎすは初夏、5月頃の鳥ですし、次に多く出てくる題材は晩夏から秋にかけての虫の鳴き声であり、真夏の期間がごっそりと抜けていて、その間はろくに創作活動をしていなかったのではないかと思われます。徒然草の中でも「家の作りやうは夏をむねとすべし」とあり、夏を如何に無難に乗り越えるかが、昔から日本の生活の大テーマだったことが分かります。私は暑いと氷を食べ、アイスキャンディーを食べ、サイダーを飲み、そして更に具合が悪くなるということを毎年懲りずに重ねています。