米トランプ政権に試練、それでも米国株が失速しないと考える理由
米国の中間選挙は、トランプ大統領率いる共和党にとって厳しい結果となりそうです(日本時間2026年11月4日17時)。一部で開票が続いているものの、民主党が上下両院で過半数を確保する見通しとなりました。
2027年1月に発足する新議会では、共和党の大統領と、民主党が多数を占める上下両院という「ねじれ」の構図となる見込みです。トランプ政権の政策運営には、法案や予算の成立に向けて、これまで以上に議会との調整が求められそうです。
ただ、こうした政治の変化を、そのまま米国株の先行きへの悲観につなげる必要はないと考えています。経済と企業業績が今の強さを保てば、2026年末から2027年にかけても、米国株の上昇を継続するとみています。
選挙直後は、開票結果や今後の政策運営を見極めるなかで、値動きの大きい相場が続く可能性もあります。ただ、過去の中間選挙前後の平均的な値動きを見ると、選挙後は次第に上昇基調が鮮明になっています(図表1)。
これは、1970~2022年の14回について、選挙日を100とし、128取引日前から112取引日後までのS&P500を比較したものです。選挙前から反発が始まり、選挙後の一時的な下げを経ても持ち直す傾向が見られます。今回も、選挙結果への反応が一巡した後は、政治から経済や企業業績などのファンダメンタルズへと、市場の関心が移っていくのではないかと考えています。
歴史から考える年末と2027年の米国株
着目期間を中間選挙後12ヶ月に広げると、前向きな実績が見えてきます。1950年以降の過去19回では、S&P500は12ヶ月後に19回すべてで上昇し、上昇率の中央値は15%でした。このうち、上院の多数派が民主党に転じたのは3回です。1954年は+33%、1986年は+4%、2006年は+9%と、いずれも12ヶ月後には上昇しています。
もちろん、今回も同じパターンが繰り返される保証はありません。ただ、足元の経済や企業業績が底堅さを保つなら、今回も歴史が韻を踏む可能性は高いと考えています。
さらに、S&P500を四半期別に見てみると、中間選挙年ならではの値動きがうかがえます(図表2)。青い棒は中間選挙年、黄色い棒は中間選挙年を含むすべての年の平均を示しています。第1~第3四半期では、中間選挙年の上昇率が、いずれもすべての年の平均を下回っています。一方、第4四半期になると関係が逆転し、中間選挙年は平均6.53%の上昇と、すべての年の平均3.90%を上回ります。年の前半から夏場にかけては伸び悩む一方、年末にかけて上昇幅が大きくなるという、普段とは異なる傾向がうかがえます。足元は、その第4四半期にあたります。
翌年への追い風を示すのが、大統領の4年サイクルです(図表3)。1928~2025年の年間平均騰落率は、中間選挙の2年目がプラス3.3%、翌年の3年目はプラス14.0%でした。3年目は、全期間平均のプラス8.1%も大きく上回っています。2027年は、この3年目に当たります。ただし、これらは過去の平均です。今回も上昇するかを判断するには、足元の経済と企業業績の裏付けが欠かせません。
共和党大統領と民主党議会、政策運営の行方
図表4は、大統領と議会の政党構成別に、1936~2025年のS&P500の年平均トータルリターンを比較したものです。今回見込まれる「共和党大統領・上下院ともに民主党が多数派」という組み合わせでは、約9%となっています。
一方、上下院で多数派の政党が異なる場合は、共和党大統領の下で約15%、民主党大統領の下で約16%でした。今回の組み合わせは、これらに比べると平均リターンは低いものの、過去の実績はプラスです。政党構成だけを理由に、米国株の先行きを悲観する必要はないと考えています。
2027年1月に発足する新議会の下では、大型減税や歳出拡大を政権の思い通りに進めることは難しくなるでしょう。一方、民主党が大幅な増税や企業規制を進めようとしても、大統領との対立が障害になります。極端な制度変更に歯止めがかかれば、企業は投資計画を立てやすくなります。
米トランプ政権は今後、議会を通さず、既存法の枠内で進められる規制の見直しや外交・通商政策に重点を移す可能性があります。行政手続きの簡素化が進めば、企業のコスト削減や投資の後押しも期待できます。特に金融やエネルギー分野では、規制の運用や許認可の見直しが、企業収益にどう結び付くかに注目したいところです。ただし、実施には法令に基づく手続きが必要で、司法審査によって政策の進展が左右される可能性もあります。
11月3日(火)の米中間選挙当日には米軍によるイラン・ケシュム島攻撃が報じられ、原油価格が上昇しました。イラン情勢は米中間選挙後も引き続き地政学リスクです。交渉による解決に向けて、イラン、イスラエル、米国が足並みをそろえているようには見えません。関税や原油高がインフレ懸念と長期金利を押し上げれば、ハイテク株の評価倍率には逆風です。議会との予算対立も波乱要因です。
