バイナンスからの巨額の資産流出で下落のBTC(ビットコイン)、中国の政策変更による反発は一時的か

先週(10月26日週)のBTC/JPYは直近安値を更新し、一時1200万円を割り込む局面がありました。大きな下落材料となったのが、世界最大手の暗号資産取引所バイナンスで発生した、ハッキングによる資産流出事件です。

バイナンスの10月30日付の公式発表によると、被害額は約63億ドルに上り、このうち約30億ドル相当の資産がオンチェーンで凍結されています。ただし、凍結と回収は別であり、盗難資産の回収作業は続いています。一方、同社は被害を全額負担する方針を示し、11月1日付の発表では、自己資金などによる被害資産の補填が約95%まで進んだと説明しています。盗難資産の回収状況と、顧客資産を裏付けるための補填状況は分けて見る必要があります。

一方、中国人民銀行は10月30日、11月2日から公開市場操作の主軸を7日物から翌日物へ切り替えると発表しました。翌日物リバースレポの操作金利は1.25%です。従来の7日物の1.40%より低い水準ですが、期間の異なる金利への切り替えであり、単純な0.15%ポイントの利下げと同一視することはできません。7日物の操作も廃止されず、納税期や月末などの資金需要に対応する形へ変更されます。

週明け11月2日の東京時間には、暗号資産にも買い戻しが入っており、中国の政策変更への期待も相場を支える材料の一つになっていると考えます。

ただし、今回の変更は金利調節の枠組みの見直しが中心です。金融機関の資金調達コストを押し下げる緩和的な効果は見込まれるものの、これだけで暗号資産市場の下落基調が変わるとは考えていません。今回の上昇も短期間で終わると予想します。

BTC(ビットコイン)は1235万~1245万円で戻り売りを狙いやすい局面

BTC/JPY日足チャート:200日移動平均線付近への下落で押し目買いへの転換を検討

BTC/JPYの日足チャート分析です(図表1)。価格はSMA90(水色)付近で推移しており、テクニカル的には戻り売りを狙いやすい局面です。

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

1235万円付近にはネックラインが控え、その上にはSMA30(黄色)も位置しています。SMA30は日足の更新とともに切り下がってきています。

これらの抵抗帯をバックに、戻り売りを狙いたいところです。
一度、200日移動平均線を試す値動きを想定し、その付近から再び押し目買い戦略へ切り替えたいと思います。

4時間足チャート:1235万円以上には複数のレジスタンス

BTC/JPYの4時間足チャート分析です(図表2)。価格はSMA30(黄色)付近まで回復しました。テクニカル的には、戻り売りを試すタイミングの一つです。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

MACDでは、価格が安値を更新する一方で指標の安値が切り上がる、明確な強気のダイバージェンスはまだ確認できません。押し目買いを狙う場合も、もう一段待ちたいところです。日足も4時間足も戻り売りを検討する局面に達しているため、この水準から打診売りが良さそうです。
また、SMA90(水色)も1260万~1270万円付近に控えています。

このゾーンも追加の戻り売りを狙える水準と考え、段階的に売り上がるイメージでトレードしていきたいと思います。

個人的には、11月末までに再び買い方向へ目線を切り替える予定です。まずは日足の200日移動平均線付近までの下落を想定し、その付近での値動きを見ながら、目線を上方向へ切り替えたいと思います。

ETH(イーサリアム)もBTCと同様に戻り売り目線を意識

ETH/JPYの4時間足チャート分析です(図表3)。BTCと同様に、SMA30(黄色)付近の戻り売りを狙う水準に達しています。過去のネックライン付近にも重なっており、戻り売りしやすい局面でしょう。

【図表3】ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

仮にこの抵抗帯を上抜けた場合は、SMA90(水色)付近から追加の売りを検討したいと思います。
SMA90は4時間足でここ最近よく機能しており、下落トレンドの中で上値を抑えるレジスタンスになっています。

BTCと同様に、MACDに明確な強気のダイバージェンスはまだ確認できません。こうした反転の兆候が現れるまでは押し目買いを待ち、短期的には戻り売り目線を維持したいと思います。

今週(11月2日週)の暗号資産(BTC・ETH)動向のポイント

・バイナンスの不正流出事件が下落材料に。盗難資産の凍結・回収と、同社による補填は区別して確認したい。
・中国の政策変更には緩和的な効果が見込まれるものの、暗号資産の反発は短期にとどまると予想。
・BTCは1235万~1245万円を中心に戻り売りを狙い、1260万~1270万円も追加の売り候補。
・BTCの日足200日移動平均線付近への下落を想定し、その付近から押し目買いへの転換を検討。ETHも当面は戻り売り目線を維持。