人工知能(AI)関連企業の過剰債務や投資回収を巡る懸念から、米国における一部の新興クラウドサービス企業の社債利回りが急上昇(価格は下落)し、市場心理が悪化するなど、ここ最近の金融市場はやや不安定化しています。15日の米国株式市場では主要株価指数が反発しましたが、インフレ率の高止まりを背景とする米金融政策当局による追加利上げへの警戒感もあり、目先の株式市場は神経質な展開となる可能性があります。こうしたなか、どういった銘柄が株式特性として相対的に耐性を備えているのか、という点も気になるところかと思います。そこで、今回は以下の条件をもとに銘柄をピックアップしました。
<抽出基準>
・S&P500種株価指数に含まれる銘柄(オフィス、ホテル・リゾート、ヘルスケア、産業、小売、特殊、住宅に関連する不動産投資信託を除く)
・日次株価リターン(過去260日)の標準偏差が対象銘柄の下位40%(≒その銘柄の値動き自体が相対的に小さい)
・S&P500種株価指数に対する過去2年の株式ベータが1未満(≒市場全体の動きへの感応度が小さい)
・S&P500種株価指数に対する過去3年の相対株価パフォーマンスの最大下落幅が、同一セクター内の小さい順で10%以内(≒市場に対する劣後が比較的小さい)
リストをみると、金融サービスを提供するジェイピー・モルガン・チェース[JPM]がリスト入りしました。10月13日に発表された2026年第3四半期決算では事業会社の売上高に相当する純営業収益が501億ドル超と前年同期比8.1%増となったものの、市場予想を下回りました。株式トレーディングや融資業務が好調だった一方、債券・為替・商品部門が低調でした。決算発表後のカンファレンスコールにおいて同社経営陣は、投資銀行業務について9月後半に活動がやや鈍化した、と説明しました。ただ、デビットカードとクレジットカードの利用額が前年比10%増と高い伸びになっていることを明らかにし、米経済の重要な柱の一つである個人消費の底堅さが示されました。また、米国のたばこ市場で高いプレゼンスを築いているアルトリア・グループ[MO]も基準を満たしました。足元、消費者の裁量的支出に対する圧力を背景に、たばこの国内出荷量が減少しており、逆風となっています。こうしたなか、同社は8月下旬にフィリップ・モリス・インターナショナル[PM]の米国以外の関連会社と製造契約を結び、従来型たばこの製造事業における効率性向上をはかるなど改善を進めています。他方、診断検査サービスを手掛けるクエスト・ダイアグノスティクス[DGX]もリストに入りました。世界最大級の診断情報データサービスを擁し、年間で米国成人の約3分の1、米国内医師・病院の約半数にサービスを提供しています。同社が7月下旬に公表した2026年第2四半期決算では売上高、1株あたり利益(EPS)ともに市場予想を上回ったうえ、通期予想についても上方修正されました。ただ、9月下旬にメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が、検査サービスに対するメディケア(高齢者向け医療保険)の支払い料率の引き下げを提案したことが悪材料視され、株価はいったん下落しました。CMSは臨床診断検査に対する2027年の支払い料率を11月に確定させる見通しとされており、進展を注視する必要がありそうです。
この他にも様々な業態の銘柄が基準を満たしていますので、値動きや市場との連動性、市場に対する劣後の小ささという視点で過去に相対的な耐性を示してきた銘柄群として参考にしていただければと思います。
