モトリーフール米国本社 – 2026年8月30日 投稿記事より

ハイパースケーラーとは

ハイパースケーラーとは、巨大データセンターを所有し運営している企業や組織を指します。データセンターを「ハイパースケール(巨大)」と見なすための、計算能力、消費電力、演算処理用チップの数に関する明確な基準が定められているわけではありません。ただし、ネットワーク機器大手のシスコ・システムズ[CSCO]とIT大手のIBM[IBM]は共に、ハイパースケールと見なされるデータセンターの基準として、面積は少なくとも1万平方フィート、サーバーは最低5,000台を挙げています。

もっとも、実際には面積と規模でこれをはるかに上回るものがほとんどを占めます。そして、各サーバーには実際に計算処理を行うプロセッサーを1基から数十基搭載されています。

電力については、規模の小さいハイパースケール・データセンターであれば電気容量は数メガワットにすぎませんが、多くの施設では100メガワット前後の容量を必要とします。最大級のハイパースケール施設の一部では数百メガワットもの電力が必要になることがありますが、これは数十万世帯の需要を賄えるほどの電力量に相当します。

世界に1万2,000ヶ所超、AI時代のデータセンターが急拡大

最近建設されたか、現在計画中のデータセンターの大半は、AI向けデータセンターです。これは旧世代のデータセンターをはるかに超えるデジタルデータの処理が可能な、高性能技術を使って構築されています。データセンター情報サイトのデータ・センター・マップによる最新のデータでは、世界中に1万2,000ヶ所を超えるデータセンターが点在しており、米国だけで4,800ヶ所近く存在すると述べています。

もちろん、その全てが巨大データセンターあるいはAIデータセンターというわけではありません。クラウドやデータセンターの専門調査会社シナジー・リサーチ・グループによれば、2025年末時点で完成または稼働中の施設のうち、巨大データセンターに該当するのは約1,360ヶ所でした。これらの巨大データセンターの大半は少なくともAI処理が可能であり、1日当たり数ペタバイトから数百ペタバイトのデジタルデータを扱っていると想定されます(1ペタバイトは100万ギガバイト)。

アマゾン、マイクロソフト、アルファベットが3強

巨大データセンターが技術的にどう定義されるか理解することよりも、どの企業がハイパースケーラー間の競争をリードしているかを知ることの方が、役に立つかもしれません。
その意味では、この業界の大手企業の顔ぶれに驚きはありません。アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)[AMZN]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]傘下のグーグルが3大プレーヤーであり、3社合計で外部にサービスを提供するパブリッククラウド市場の63%を占めています。

これは、自前のデータセンター構築を望まない、あるいはできない企業に対し、ハイパースケーラーがクラウド経由で自社データセンターインフラへのリモートアクセスを提供しているということです。繰り返しになりますが、こうしたクラウド・コンピューティング・インフラの多く、特に、最近建設された施設の大半はAI処理が可能な巨大インフラです。

メタ、オラクル、アップル・中国勢も参入、AIデータセンターの勢力図

もっとも、ハイパースケーラーはアマゾン、マイクロソフト、グーグルだけではありません。メタ・プラットフォームズ[META](以下、メタ)や法人向けソフトウエア大手のオラクル[ORCL]も参入しています。

2社が保有する巨大データセンターは数こそ大手3社に及ばないからもしれませんが、その規模を平均すると上位3社が運営するデータセンターに匹敵します。実際、メタが500億ドルをかけてルイジアナ州に建設中の面積1,000万平方フィートの「Hyperion」は、完成すれば世界最大級のAIデータセンターの一つとなる予定です。

アップル[AAPL]も、ハイパースケーラーの一社に名を連ねています。アップルはパブリッククラウド事業を手掛けていないためAIデータセンターの総数は少ないものの、同社が社内利用のために保有している施設は巨大です。

米国以外に目を向けることも忘れてはなりません。アップルやオラクルと同様に、中国の電子商取引大手のアリババ・グループ・ホールディング[BABA]やインターネット検索のバイドゥ[BIDU]が保有する高性能データセンターの総数は多くありません。

とはいえ、中国企業が保有する施設の中には巨大ゆえに非常に高い処理能力を備えるものもあります。例えば、チャイナ・テレコムが中国南部に建設中のAIデータセンターでは、アリババがAI処理専用に設計・製造した演算処理用チップ「Zhenwu」を1万基使用する予定です。この施設は間違いなく巨大データセンターに該当するでしょう。

筆者は引き続き、AIデータセンター市場ではアマゾン、アルファベット傘下のグーグル、マイクロソフトが市場をリードする主要企業であり続けると考えています。特に、グーグルは独自に開発した高性能のAI半導体テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)を武器に、将来的には市場シェアで現在首位のアマゾンを上回るとみています。

免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者James Brumleyはアルファベットの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット、アマゾン、アップル、バイドゥ、シスコ・システムズ、IBM、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、オラクルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。