モトリーフール米国本社 – 2026年8月25日 投稿記事より
イラクの石油産業は、1960年のバグダッド会議でともにOPEC(石油輸出機構)の創設に関わったサウジアラビアの陰に、常に隠れてきました。しかし現在、イラクはその状況から抜け出そうとしています。イラクは最近、OPECから割り当てられる生産枠の拡大を求め、サウジアラビアに代表団を派遣しました。またこれまでにも、増産が認められなければUAE(アラブ首長国連邦)に続いてOPECを脱退する可能性があると警告していました。
イラクが求めているのは単なる小規模な増産ではありません。同国は6年以内に原油生産量を日量800万~1000万バレルに増やすことを目指しています。これはイラン戦争によりホルムズ海峡経由の原油輸送が滞る前に同国が生産していた量(日量400万バレル)の2倍以上に相当し、サウジアラビア(最大で日量1200万バレルを生産可能)に匹敵する規模となります。
以下では、イラクの原油増産構想から恩恵を受けるとみられるエネルギー関連株3銘柄を紹介します。
シェブロン[CVX]:イラク政府と油田事業参入に向けた覚書を締結
米石油大手シェブロン[CVX]は、イラクの原油増産戦略から最も大きな恩恵を受ける企業の一つとなる可能性があります。同社は、イラクの西クルナ2およびナシリヤ油田事業への参入に向けた覚書を同国政府と締結しました。最終的な商業契約が成立すれば、同社は世界最大級の油田の一つである西クルナ2の操業権を握ることになります。同油田は現在、日量46万バレルを生産しており、これはイラクの原油生産量の約10%、世界の原油供給量の0.5%に相当します。一方、ナシリヤ油田は現時点では比較的小規模ですが、大きな探鉱ポテンシャルを秘めています。
イラクは、シェブロンが西クルナ2の操業権を引き継いだ後に同油田の生産量を日量75万~80万バレルまで増やすことを求めています。同油田の可採埋蔵量は130億バレルと推定されています。一方、ナシリヤ油田事業に関しては、事業開始から7年以内に初期生産能力を日量60万バレルとすることを目標としています。シェブロンは、ホルムズ海峡を迂回するためのパイプラインプロジェクトについても検討しています。イラク政府との最終契約を締結できれば、シェブロンは同国で大きな成長を遂げる可能性があります。
コノコ・フィリップス[COP]:イラク北部キルクーク地域の大規模油田の再開発を支援
米石油・ガス大手のコノコ・フィリップス[COP]は、イラク石油セクターに参入しようとしています。同社は最近、BP Energy Company of Kirkukの持分42%を取得することで合意しました。この投資は、イラク北部キルクーク地域で現在生産中の4つの大規模油田の継続的な再開発を支援するものです。
コノコ・フィリップスのライアン・ランスCEOは契約発表のプレスリリースの中で、今回の案件について、大規模かつ質の高い資源へのアクセスを可能にする「またとない再開発機会」だと述べています。再開発プログラムでは、既存の大規模な生産基盤を活用するとみられます。イラクは、これらの油田の可採埋蔵量を石油換算で30億バレル超と推定しており、追加的な探鉱ポテンシャルも大きいとみられます。
コノコ・フィリップスは、イラクのアッカス・ガス田開発を主導する可能性があるコンソーシアムの一員でもあります。同ガス田の埋蔵量は5.6兆立方フィートと推定されています。安全保障上の懸念とインフラ面の制約により、イラクは同ガス田の開発を進めるのに苦労してきました。この2つめの案件は、コノコ・フィリップスがイラクに関心を持ち続けていることを示しており、同社が将来的にイラクの原油増産を支援する契約の締結に前向きであることを示唆している可能性があります。
エクソンモービル・ホールディングス[XOM]:一度撤退するも2025年から再び進出
エクソンモービル・ホールディングス[XOM]は、2003年の米国のイラク侵攻後にいち早くイラクの油田開発に参入した米石油会社の一つでした。しかし、低い収益性やその他の問題により、西クルナ1油田事業の権益をペトロチャイナに売却した後、2023年に同国から撤退しました。
同社は2025年、イラクの大規模油田マジュヌーンを開発し、同国の原油輸出拡大を支援する契約を締結し、イラクへの復帰に向けた一歩を踏み出しました。マジュヌーン油田は世界最大級の油田の一つで、埋蔵量は380億バレルと推定されています。長年にわたる多くの問題により、同油田はまだ本来の生産能力を十分に発揮できていません。しかし、エクソンモービルが法的拘束力のある商業契約を締結し、マジュヌーン油田の開発に成功すれば、同社にとって大きな成長ドライバーとなる可能性があります。
イラクの原油増産構想は、これらの石油会社に大きな成長をもたらす可能性
イラクはこれまで、自国の豊富な石油ポテンシャルを十分に活かしきれずにいました。同国政府は今後6年間で生産量を倍増させ、この現状を打破したいと考えています。しかし、自国のみでこれを達成するのは困難であり、欧米大手エネルギー企業が持つ資金力と技術的ノウハウが欠かせません。
こうした背景から、シェブロンやコノコ・フィリップス、エクソンモービルといった企業に原油増産支援の道が開かれており、イラクの増産計画は今後数年間にわたり、これら石油大手銘柄にとって重要な成長ドライバーとなる可能性があります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matt DiLalloは、シェブロンとコノコ・フィリップスの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、シェブロンの株式を保有し、推奨しています。また、BPとコノコ・フィリップスを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。
