FRB議長交代から2ヶ月後に起こった「ブラックマンデー」

基軸通貨、米ドルの「番人」でもあるFRB議長交代後間もなく起こった金融危機の例として最も有名なのは、1987年10月のNY発世界同時株暴落「ブラックマンデー」だろう。これは、グリーンスパン新FRB議長誕生から約2ヶ月後の出来事だった。

この「ブラックマンデー」の危機を凌いだグリーンスパン氏は、その後約19年もの長期にわたりFRB議長を務めたが、その後任となったバーナンキ氏がFRB議長に就任してから約1年後にサブプライム・ショック、リーマン・ショックなど一連の信用バブル崩壊とされる金融危機が発生した。

「バブル崩壊」が試すところとなった新FRB議長の手腕

この2例に共通したのは、前者は1990年の日本のバブル崩壊、そして後者は信用バブル崩壊と、ともにバブル崩壊が起こる前のFRB議長交代だったということ。あたかもバブル崩壊により、世界の中央銀行のトップに君臨する新FRB議長の手腕が試されるようになったわけだ。

では、今回の場合はどうか。これまで展開してきた世界的株高については、AIバブルなどの警戒論もある。ウォーシュ新FRB議長は、AIバブル崩壊などによって、その手腕を試されることにならないだろうか。

米景気に減速の兆し=GDPナウは第2Q予想を大きく下方修正

ウォーシュFRB議長は、利下げ要求を公然と行うトランプ米大統領による指名とあって金融緩和支持、つまり「ハト派」姿勢が注目された。しかし、これまでのところインフレ目標達成の必要性を強調し、予想以上に金融引き締め支持、つまり「タカ派」との評価となっている。

これに対して少し気になるのは、ここに来て米景気に減速の兆しが浮上してきたということ。アトランタ連銀の定評のある経済予測モデルであるGDPナウは、4~6月期(第2四半期)の実質GDP成長率(前期比年率)について、当初は3~4%の高い伸び率を予想していたものの、最近は1%台前半へ大きく下方修正してきた。

歴史的株高とバブルへの懸念。その中で米景気の減速と「タカ派」の新FRB議長登場という組み合わせが、新たな「FRB議長交代ショック」を起こすことにならないかは、慎重な見極めが必要かもしれない。