モトリーフール米国本社 – 2026年7月11日 投稿記事より
人工知能(AI)がメモリ/ストレージ半導体の需要を急拡大させたことで、投資家がこの分野で大手のマイクロン・テクノロジー[MU](以下、マイクロン)やサンディスク[SNDK]といった銘柄に殺到しています。一方、米国や日本の投資家は今までその株を保有できず、蚊帳の外に置かれてきていた、この分野でもう1社成功している企業があります。その企業とはSKハイニックスです。
同社は韓国取引所に上場していたため、株式を直接購入することが難しい銘柄でした。SKハイニックスを組み入れている上場投資信託(ETF)のクレーンシェアーズ パブリックプライベートAlテクノロジー ETF[AGIX]を購入する方法もありましたが、SKハイニックスに直接投資したい人にとっては十分な代替手段ではありませんでした。
しかし、その状況は2026年7月10日に一変しました。SKハイニックスは265億ドルを調達し、外国企業による米国市場での新規上場案件として調達額が史上最大となったのです。
SKハイニックスの米国上場に需要が殺到
AIの急拡大によってメモリ/ストレージへの需要が際限なく高まる中、マイクロンとサンディスクの株価はその恩恵を受けてきました。本稿執筆時点でマイクロンの株価は過去1年間で700%超上昇し、サンディスクは4,000%超の上昇を記録しています。
SKハイニックスの株価も過去1年で、630%超急騰しましたが、米国から韓国取引所に上場している企業への直接投資ができなかったため、投資を希望していた多くの投資家はこの上昇を享受できなかったのです。
しかし、現在はその状況は変わっています。SKハイニックスは現在、ナスダック市場でティッカー・シンボル[SKHY]として売買されています。ブルームバーグは、同社が米国預託証券(ADR)の発行によって調達した265億ドルは電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング[BABA]の米国上場を上回る規模だと報じ、ロイターによれば、需要は募集株数の7倍に達したとされています。
同社のADRのナスダック上場前の募集価格は1株当たり149ドルでしたが、株価は2026年7月10日の午後までに170ドル前後に上昇しました。
高帯域幅メモリ(HBM)市場をリードし、売上高も急拡大
これまでメモリ/ストレージ半導体業界は景気循環の影響を受けやすい成熟産業と見なされてきました。しかし現在は、AIの普及を背景に、同業界の製品に対する需要はかつてないほど高まっています。その理由は、データセンターが膨大なデータ処理に不可欠な高帯域幅メモリ(HBM)を必要とするためです。
HBM市場ではマイクロン、サムスン電子、SKハイニックスの大手3社が主要メーカーとされています。SKハイニックスによると、同社は世界のメモリ半導体最大手の一角を占め、HBM市場においては2026年第1四半期に世界市場で56.4%のシェアを持つと述べています。
こうした高い市場シェアを背景に、売上高も急拡大しています。SKハイニックスは2026年第1四半期だけで既に345億ドルの売上を計上し、2025年通期売上高637億ドルの半分を超えました。
SKハイニックス株のリスク
SKハイニックスは米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で、一定の集中リスクがあることを開示しています。同社は製品の相当量を米国と中国の顧客に販売しており、2025年には最大顧客だけで全売上高全体の24%近くを占めていました。
また、SEC提出書類の中で、同社への投資を検討する場合に確認すべき複数のリスクも列挙しています。例えば、2025年総売上高の77.1%はDRAM製品によるものでした。DRAMの販売が減速すれば、SKハイニックスの業績はきわめて大きな打撃を受ける可能性があります。
さらに同社は、長期的な成長を実現するために生産能力の拡大が必要であることに加え、重要な原材料を迅速に調達することの難しさもリスクとして挙げています。どのような投資先でも、短期間で株価がある程度上昇したからといって、急いで投資判断を下す必要はありません。同社が長期保有に値する銘柄かどうかを検討する時間は十分にあります。
免責事項と開示事項
記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jack Delaneyは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はマイクロン・テクノロジーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はアリババ・グループ、ナスダックを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
