一致している日米韓の円安、ウォン安懸念
7月1日に開かれた韓国の国際金融政策諮問委員会での発言内容が、翌7月2日に報道された。この中で、韓国企画財政部(財政経済省)幹部は、「ウォン相場が韓国経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に対して著しくかい離している」、「為替問題について、日本や米国などと緊密に情報交換・意思疎通をしている」などと発言したとされ、特に「日本や米国などと緊密に情報交換・意思疎通をしている」という部分が、ウォン安阻止への日米との協調思惑を呼んだようだ。
上述の発言の一部は、日本の通貨政策の実質的な責任者である三村財務官の最近の発言とかなり重なる。たとえば、三村財務官は最近のあるインタビューの中で、「(為替対応に関する日米関係が)これ以上深まりようがないくらい深まっている」、「日頃から頻繁に連絡を取り合っている」ことを強調していた。
また、ベッセント米財務長官は5月中旬に韓国を訪問した後、韓国ウォンの最近の急落について、「韓国のファンダメンタルズと一致していない」との見解を示していた。同じような見解は1月にも示されていた。
以上のように見ると、円安とウォン安への懸念、それがファンダメンタルズからかい離した結果ということを受けて、日米韓の3ヶ国間で緊密な意思疎通を続けているということでは一致しているようだ。
2024年4月の日米韓財務大臣合意が引き継がれている可能性
この日米韓の3ヶ国は、2024年4月17日付けで、「日米韓財務大臣会合に係る共同声明」を発表していたが、その中には以下のような記述があった。「我々はまた、最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」。
この2024年4月の共同声明が発表された当時は、日米韓の3ヶ国とも現在とは違う政権だったため、もちろんそれにコミットした財務大臣も違っていた。ただこれまで見てきたことからすると、この共同声明の為替合意は最近もそのまま引き継がれている可能性が高そうだ。
為替合意がさらに踏み込み、日米韓協調米ドル売り介入になるか
この共同声明が発表されてから間もない2024年4月29日に、日本の通貨当局は米ドル売り・円買い介入に出動した。その後5月に入り、当時のイエレン米財務長官が、「為替介入はまれであるべき」との発言を繰り返すようになると、「米政府の反対で日本は介入ができなくなったのではないか」との見方が浮上したが、当局は7月に介入を再開した。こうした一連の円安阻止の為替介入は、この2024年4月の日米韓財務大臣合意も根拠になっていた可能性があった。
すでに見てきたように、この共同声明発表から2年以上過ぎたものの、関係者の最近の発言から察するところ為替合意はそのまま引き継がれている可能性がある。その上で、長期化、深刻化する円安、ウォン安を受けてこの日米韓の為替合意がさらに一歩踏み込み、円安、ウォン安の阻止・是正を目的とした日米韓3ヶ国による米ドル売り協調介入が実現するかも注目されるだろう。
