5月の対ベッセント会談は投機的円売り対策が議題だった?
5月12日、来日したベッセント米財務長官が高市総理らと会談するにあたり、一部メディアは、「投機的円売りへの対処策も議題になる」、「ベッセント氏は長く投機的な円売りを警戒してきた」などと「ワシントン発」で報じていた。「ワシントン発」だったことからすると、これは米財務省サイドの事前説明による可能性が高いだろう。
では、実際にベッセント長官との一連の会談の中で、投機的円売り対策は議題になったかと言えば、それを裏付けるような報道は確認できなかった。ということは、米国サイドの事前説明があったにもかかわらず、一連の会談では投機的円売り対策は議論されなかったということなのか。
円安を巡る投機的円売り対策は日米当局の共通認識か
6月3日、参院本会議の高市総理の答弁の中で、高市総理が「投機的取引を含む実需に基づかない取引が、為替相場に大きな影響を与えるようになってきている」との認識を示したと報道された。総理の国会答弁ということからすると、これは日本の通貨当局である財務省からの事前説明を受けたものである可能性が高そうだ。
以上のように見ると、実際にどこまで日米間で投機的円売り対策について議論されているかはともかく、少なくとも日米両国の通貨当局である財務省では、最近の米ドル高・円安を巡り投機的円売り対策の必要性についておおむね共通認識となっているだろう。
投機的円安か、それともファンダメンタルズの反映なのか
これについては、おそらく異論も多い。最近の円安は、相対的な日本の低金利や財政規律への懸念、そして日本経済の国際競争力低下といったいわゆるファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映したものであり、それを投機的円売りの結果とするのは違うとの意見は多そうだ。
投機的円売りの結果なのか、それともファンダメンタルズを反映した結果なのか。その判断は難しそうだ。ただし、日米の通貨当局の間では前者、つまり投機的円売りの結果としての円安と位置づけ、その阻止・是正策を検討してきた可能性が高いのではないか。
投機的円安対策で日米及びG7協調も視野に検討?
6月3日の参院本会議の答弁の中で、高市総理は円安に対して「必要に応じいつでも適切に対応する」、「これらの取組みの上に、日米間をはじめとする国際的な連携を一層進化させていきたい」などと語っていた。これも日本の財務省による事前説明を受けたものである可能性が高いだろう。
これまで見てきたことを整理すると、少なくとも日米の通貨当局の中では、最近の米ドル高・円安を投機的円売りの影響が大きいと位置づけ、日米及び国際的連携の一層の進化により対抗する、つまり日米協調介入やさらにはG7(主要7ヶ国財務大臣・中央銀行総裁会議)協調介入も視野に入れた円安阻止・是正を目指しているのではないか。
