昨日に続いて写真の話。一番記憶に強く残っている写真はやはりロバート・キャパの写真です。ノルマンディー上陸作戦に従軍したキャパのまさに上陸の瞬間の決定的な写真はブレています。寒さか、恐ろしさか、興奮からか、とにかく世紀を代表する写真家であるキャパが大きく手触れしているのです。
もう一つはキャパの撮った最後の写真。何の変哲もない、草原を進行している兵隊を後ろから撮っている写真なのですが、その直後にキャパは地雷を踏んでしまい他界したのでした。黒白であり、限られた画角なのですが、見えない所−画面の外側やその前後の状況、撮り手の想いなど−の情報や物語が克明に伝わって来ます。そんな写真が、一番いい写真だと今でも思っています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。