昨日に続いて写真の話。一番記憶に強く残っている写真はやはりロバート・キャパの写真です。ノルマンディー上陸作戦に従軍したキャパのまさに上陸の瞬間の決定的な写真はブレています。寒さか、恐ろしさか、興奮からか、とにかく世紀を代表する写真家であるキャパが大きく手触れしているのです。
もう一つはキャパの撮った最後の写真。何の変哲もない、草原を進行している兵隊を後ろから撮っている写真なのですが、その直後にキャパは地雷を踏んでしまい他界したのでした。黒白であり、限られた画角なのですが、見えない所−画面の外側やその前後の状況、撮り手の想いなど−の情報や物語が克明に伝わって来ます。そんな写真が、一番いい写真だと今でも思っています。