軟調な株式市場が続いています。小泉内閣の誕生と共に、変化に対する期待感から一旦2割近く上がった相場は、既に元の位置にまで戻ってしまいました。構造改革に伴って、いろいろなもの(人・ビジネス・資金など、全てのもの)が現在ある場所から外されて新しい場所に再配置されるでしょう。しかもそれは同時ではなく、暫くの間宙に浮くこともあるかも知れません。あらゆる類いの資産が、現代に適った形で最適に再配置され、再び成長力を持つようになる為のプロセスです。効率を上げる為のITの導入や、あらゆる仕組み・組織の中でのいわゆる「中抜き」は、将来的にサービスの価値の向上に繋がりますが、短期的にはデフレの効果があります。これらの現象は「Jカーブ効果」としてよく知られています。今の苦しみは、将来の成長の為です。
「株式」の投資ホライズンは本来かなり長く、「J」の短期的な沈みこみはその期間より短い筈です。構造改革を推進し、その実行を支えるのは、政治家や政府やマスコミだけでなく、市場参加者もやはりある意味で重要な当事者だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。