ユーロ高、ユーロ安とも決め手に欠ける状況続く
ユーロ/米ドルは、2026年に入り一時1.2米ドルまでユーロ高・米ドル安となったものの、その後は反落。特に2月末に米国等のイラン攻撃が始まると、1.14米ドル割れ近くまでユーロ安・米ドル高となった(図表1参照)。
ただ、その後はユーロ高、ユーロ安とも決め手にかけた方向感の乏しい展開が続いている。独米金利差を見ると、比較的大きな変動が続いてきたが、それとは対照的にユーロ/米ドルは狭いレンジでの小動きが続いてきた。
約1年も続く1.14~1.19米ドル中心の小動き
それは、この数ヶ月に限ったことではない。ユーロ/米ドルは約1年にもわたり、1.14~1.19米ドルと狭いレンジ中心の方向感の乏しい展開が続いてきた(図表2参照)。
この1年の間に、ECBは1回、そしてFRB(米連邦準備制度理事会)は3回の利下げを行った。しかし、結果的には、そうした金融政策の変更がユーロ/米ドルに新たな方向性を示すところとはならなかった。そういう観点からすると、今回ECBが予想通り利上げを決めても、それがユーロ/米ドルに新たな方向性をもたらす可能性は低いのかもしれない。
52週MAとの関係からは2025年1月1.01米ドルからのユーロ高トレンド
このようにトレンドが判断しにくいユーロ/米ドルだが、52週MA(移動平均線)との関係などを見る限り、2025年1月の1.01米ドルからユーロ高・米ドル安トレンドが続いてきた可能性が高そうだ。
ユーロ/米ドルは、2025年1月に1ユーロ=1米ドルという「パリティ(等価)」割れ寸前まで下落していたが、そこから上昇に転じ、すでに見てきたように2026年1月には一時1.2米ドルまで上昇した。この動きは、52週MAを継続的に上回るもので、それは経験的にはユーロ高・米ドル安トレンドが展開している可能性を示すものと言える(図表3参照)。
この52週MAを、ユーロ/米ドルは先週(6月1日週)にかけて小幅ながら4週連続で下回った。経験的に上昇トレンドと逆行する一時的下落は、52週MAを1ヶ月以上と長く下回らない可能性が高い。その意味では、ユーロ高・米ドル安トレンドが続いており、あくまで一時的ユーロ安・米ドル高に過ぎないなら、そろそろ52週MA以上のユーロ高・米ドル安に向かう見通しになる。足下の52週MAは1.16米ドル程度。
ユーロ高トレンドの裏にトランプ政権の影響
逆に、52週MAよりユーロ安・米ドル高の動きがさらに長期化するようなら、トレンドがすでにユーロ高・米ドル安からユーロ安・米ドル高へ転換した可能性も意識する必要が出てくるだろう。
ただ、そうしたテクニカルな判断とは別に、ユーロ/米ドルの値動きを客観的に見ると、基本的には2025年1月のトランプ政権登場を受けて、ユーロ高・米ドル安トレンドへ転換したと言える。そうであるなら、少なくともトランプ政権の間はこの流れは変わらないのではないか。
そうだとしたら、ユーロ/米ドルが52週MAを割れる状況が長期化する可能性は低く、大きな焦点は、約1年もの長きにわたり続いてきた1.14~1.19米ドル中心のレンジをいつユーロ高方向にブレークするかということになるのではないか。
