マネックスは海外のメディアに取り上げられることも多くあるのですが、外国語(母国語でなく、かつその国で暮らしたこともない場合)というのは中々厄介な代物です。私も米系の会社に就職したのが早14年前のことですから、今ではそれなりに英語は使えます。しかし英語で話していると、説明している自分の知識や考え方について、「相手は本当に理解しているのだろうか?」とか、「言いたいことの7割ぐらいしか表現できていない」と思うことがママあります。そこでその懸念を表明すると相手は決まって、「そんなことはない。おまえの英語はとても上手だ。おまえの言いたいことは100%分かるよ。」と言います。私の言い切れなかった30%の部分を相手が演繹してくれたり、或いは少なくともあと30%は表現できていない部分があるのだと認識してくれればいいのですが、私の70%をもって、私の100%だと思われては心外です。私の30%はどこへ行ってしまったのでしょうか?これは大問題です。このような問題が存在することの認識が英語を母国語とする人たちには薄かったり無かったりする場合もありますし、そもそも理解してくれない場合もあります。真のグローバリゼーションにはまだまだ道程は長いのでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。