1/14土曜日の日経新聞朝刊に、不動産大手3社は2016年4~12月期に過去最高益計上との観測記事が掲載されました。マイナス金利による不動産市場の活況が主因です。しかし、最近、日本のみならず、世界の不動産市場に行き過ぎの"危険な香り"が漂っていると感じています。この辺りの分析を、本日掲載の「東洋経済オンライン」に書かせていただきました。
なにしろ、日本では、2013年4月の日銀の金融緩和本格化以降、都心のマンション価格(中古)は約4割上昇しました。青山などの高額新築物件の坪単価(3.3m2)は900万円を超えている模様です。
これは日本に限った話ではなく、同じ時期に、ニューヨークで25%上昇、ロンドン、ストックホルムに至っては、それぞれ、52%、43%も上昇しています。まさに世界同時不動産ブームです。
中でも最大の懸念は米国です。利上げ加速もさることながら、新政権は、不動産の償却制度の見直しや、借入金の利払いを、課税所得から控除できなくするなどの措置を検討中と伝えられています。法人税率を引き下げる代わりに課税ベースを拡大する必要があるためです。しかしこれらの利上げと税制変更が効きすぎると、不動産価格急落の懸念があるのは、日本の90年代を見れば明らかです。
米国の不動産価格はサブプライムの時以外殆ど下落したことがありません。16年10月現在、ニューヨークのマンションは、サブプライム前のピークから16%も高い価格で取引されています。金融緩和で、以前よりも多額の投機マネーが不動産に流れ込んでいるだけに、不動産価格が急落したら、世界の投資マネーのマインドを冷やすため、日本の市場も無傷ではいられないかもしれません。
今週末1月20日にはいよいよ米国で新政権誕生です。こうした観点から、特に税制改革の方針については、大いに注目したいと思います。