「運が良い人」と聞くと、どんな人を思い浮かべますか?生まれつき恵まれている人や、偶然に恵まれた人を想像する方も多いでしょう。しかし私は、「運」は偶然だけでなく、自分の努力や行動によって引き寄せることができるものだと考えています。

例えば、私の知人Aさんは、特別な才能があるわけではありませんが、困ったときには必ず誰かが手を差し伸べてくれます。なぜかというと、Aさんは普段から人の話をよく聞き、相手の良いところを見つけては積極的に褒めています。否定的な言葉を使わず、常に前向きな発言を心がけているのです。

人は否定されると心を閉ざしますが、肯定されると自然と心が開きます。Aさんのように肯定的な言葉を使うことで、周囲との信頼関係が深まり、結果的に「運が良い」と言われるような出来事が増えていくのだと思います。私自身もAさんの姿勢を見習い、否定的な気持ちが芽生えたときは、まず一呼吸おいてから発言するようにしています。

私はコインチェックを始める前から、否定的な発言を控え、肯定的な発言を心がけてきました。特にコインチェックを起業した時は、資本も実績もありませんので、運にもすがる思いで、より一層肯定的な発言を意識しました。

その結果、コインチェックが窮地に立った際にマネックスの松本さんたちと出会い、一緒に仕事をする社員や事業提携先のキーマンとの縁が生まれ、ビジネスの成長につなげることができました。周囲から「大塚さんは運が良いですね」と言われることが多いですが、私は、それは単なる偶然ではなく、起きるべくして起きた偶然だと感じています。

創業者の大きな仕事の1つは、「運を引き寄せること」だと思います。

私はいつも周囲に「大丈夫、次はうまくいくよ」「この経験がきっと役に立つよ」と声をかけるようにしています。すると、同僚との関係が良くなり、自然とお互いに助け合う雰囲気が生まれます。この良好な関係性こそが「運を引き寄せる努力」だと実感しています。

また、運を引き寄せるためには、自分から行動することも大切です。新しいことに挑戦したり、普段会わない人と交流したりすることで、思いがけないチャンスが巡ってくることがあります。私は理系のオタクで、初対面の人と話すのは得意ではありません。「運を引き寄せること」は創業者の役割の1つです。得意不得意ではなく、私にはやる責務があると思っています。

もちろん、人間ですから否定的な気持ちが芽生えることもあります。しかし、その気持ちをそのまま言葉にせず、どうすれば前向きな発言に変換できるかを意識することが大切です。「気持ちが芽生えること」と「発言すること」は別物です。自分の感情をコントロールし、周囲に良い影響を与える言葉を選ぶことで、運を引き寄せる確率は確実に上がると信じています。

最後に、運を引き寄せる努力とは、特別なことをするのではなく、日々の小さな行動や言葉の積み重ねです。否定的な発言を控え、肯定的な言葉を意識し、自分から行動する。この3つを心がけるだけで、きっとあなたの周りにも良い運が巡ってくるはずです。今日からぜひ、運を引き寄せる努力を始めてみてください。