炭鉱のカナリアといえば、金融市場においてはVIX指数やハイイールド債価格でしょうか。有毒ガス発生を人間よりも早く察知し、その美しい囀りが止むことから炭鉱などで使われてきたカナリアですが、米国を取り巻く軍事的緊張や有事の兆候を察知できると噂されるインデックスがあるのをご存知ですか?

「Pentagon Pizza Report」は、ペンタゴン(およびその他の場所)周辺のピザ店の動向をオープンソースで追跡するXアカウントです。このアカウントの更新頻度がにわかに急増した6月12日、こんなポストが注目を集めました。「ホワイトハウスに最も近いドミノピザの売上は、水曜日の午後5時頃の通常の売上レベルをはるかに上回るほど急増した。このドミノピザは、ホワイトハウスに最も近いピザ店の一つだが、注目すべきは、近くの他のピザ店の客足が平均以下であることだ」

近隣で何等かのイベントがあればこのエリア一帯のピザ店の売上げがあがるはずですが、この日急増したのはホワイトハウスに最も近いドミノピザだけだった…これが何を示唆するか。

この日、国際原子力機関(IAEA)の理事会が保障措置協定の義務を果たしていないとイランを非難する決議を採択しました。イランはこれに反発、新たなウラン濃縮施設を設置すると発表したのです。

ペンタゴンの職員は、有事の兆候が強まったり、軍事行動に迫られたりと緊張が高まると、帰宅せず職務が深夜にまで及ぶこともあるようで、近隣のピザ屋に大量注文をすることがあるのかもしれません。

実際に6月13日(金)にイスラエルはイランの軍事施設を攻撃。このインデックスが顕著に危機を察知していたことが注目されました。足元でイランは米国に戦闘の仲介を要請しているとも報じられ長期化は避けられそうですが、出前を取るのがピザというのが実に米国らしいですね。