5月26日付の日本経済新聞では、『企業がM&A(合併・買収)する際、「のれん」の償却を定期的にしない会計処理を認める制度変更の動きが出てきた』と報じられました。現状、日本の会計基準では、のれんの定期的な償却が求められる一方、IFRS(国際財務報告基準)や米国基準では償却せず、価値の下落時にのみ減損を行う方式が主流です。制度変更が実現すれば、M&Aに積極的な企業にとって、PL(損益計算書)上の利益面での負担軽減が見込まれます。
そこで、今回は、IFRSを採用していない日本企業(除く金融)の中から、のれん/総資産比率が1以上という条件を満たし、かつ時価総額上位の15銘柄をピックアップしてみました。リストには、セコム(9735)、旭化成(3407)、東宝(9602)、ゼンショーホールディングス(7550)などが含まれています。
ただし、のれんの非償却が実現した場合でも、将来的な業績悪化による一時的な大規模減損リスクが顕在化する可能性がある点には注意が必要です。また、M&Aで計上されたのれんの中身(買収先の収益性や成長余地)が業績に与える影響も企業ごとに異なるため、定性的な見極めも重要です。