コインチェック株式会社の前身は、レジュプレス株式会社という名前のスタートアップでした。このレジュプレスには、和田と私を含め4人の共同創業者がいます。
共同創業者の一人は、初代代表取締役のJames Rineyです。 アメリカ人で日本語も堪能な彼は、テクノロジーとスタートアップの動向に対して鋭い洞察力を持つ賢明な人物でした。レジュプレス創業から2年後、「自分はベンチャーキャピタリストになりたい」という思いを胸に、私たちと別れの道を選びました。その後、自らCoral Capitalを立ち上げ、独立系ベンチャーキャピタルとして600億円を運用するファンドへと育て上げました。
もう一人の創業メンバーが、溝部拓郎です。 東京工業大学の出身で、和田晃一良にとっては大学の先輩にあたります。 学生時代から和田にプログラミングを教え、和田を起業に誘ったのも拓郎でした。 拓郎と和田はとても仲が良く、よく一緒にゲームをして過ごしていたのを思い出します。
レジュプレス創業後、Coincheckの開発に着手した当時は主に和田と拓郎が開発を進めていました。 会社としてCoincheckに集中しようと検討していた時、拓郎も継続してCoincheckに集中するのかを話す機会がありました。拓郎は悩んだ結果、「やっぱり、オレはゲームを作りたい」と結論を出しました。和田と私は、拓郎の意思を尊重することにしました。
彼はその言葉通りにレジュプレスを去り、その後、株式会社ポケットペアを創業します。 そして数年後、『パルワールド(Palworld)』が世界中で驚異的なヒットを記録し、2025年2月時点で全世界の総プレイヤー数は3,200万人に達しました。 これは、まさに彼らしい選択を貫き通した結果の成功だと感じています。
あれから12年が経ちました。James、拓郎、和田、そして私。 今ではそれぞれの道を歩んでいますが、今でも連絡を取り合い、良好な関係を続けています。
ともに創業し、袂を分かっても、仲間は仲間です。 時間が経つほどに、その意味を深く実感するようになりました。
- 大塚 雄介
- コインチェック株式会社 執行役員CBDO
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早稲田大学大学院修了、物理学修士号取得。株式会社ネクスウェイでB2B向けITソリューションの営業・事業戦略・開発設計を担当。レジュプレス株式会社に参画(2017年4月よりコインチェック株式会社に社名変更)。2014年2月に取締役に就任。2018年4月にコインチェック株式会社がマネックスグループ株式会社の子会社となると同時に執行役員に就任し、マーケティング・事業開発などを統括。2021年4月執行役員を経て、2023年9月より執行役員web3Cloud事業本部長。組込型の暗号資産購入サービス「Coincheck OnRamp」をはじめとするweb3Cloud事業を管掌。2024年9月より執行役員CBDOに就任。 *CBDO(Chief Business Development Officer):最高事業開発責任者