人によって、取るべきリスクの大きさに最適値があるか?
これはいわゆるVAR(Value at Risk) と資本金の関係で最近はよく語られますが、分かりやすくカジノを例にとって説明しましょう。
ラス・ベガスまでわざわざ日本から出かけた人が二人いたとします。どちらも滞在期間は3日間。カジノ以外の目的はなし。一人は100万円の軍資金で、もう一人は10万円の軍資金だとすると、自ずと一回一回のゲームでの掛け金には差がつくべきですよね。
ここでは軍資金が資本金に、掛け金がVARに当ります。まぁ、身のほどを知るということでしょうか。もう一つの考え方は、ラスベガス旅行の全費用を3日間で稼ごうと思っている場合にどうするかという考え方です。費用と、何日間居るかが決まっていると、これも自ずと掛け金は決まります。勿論勝つ保証はありませんが、例えば50万円の旅費を3日間で稼ぐのに、1ドル単位で掛けても所詮無理ですね。このように、資本力と目的から、取るべきリスクの大きさは大体決まってくるものです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。