2024年3月に岩手で暮らす母が実家の居間で転倒し、左足親指の付け根を骨折しました。母の見守りを強化するため、遠距離介護にかかる交通費やデイサービスなど介護保険サービスの利用が増え、1ヶ月あたりの介護費用は大幅に増えました。

今回は母の骨折の経緯と、骨折前後で1ヶ月あたりの介護費用はどう変化したかについてご紹介します。

岩手の母の骨折に最初に気づいたのは東京に居た息子

日曜日の18時頃、いつも母は居間でテレビを見ています。しかしこの日はテレビに背を向けた状態で、こたつに入って横になっていました。

その時私は東京に居て、実家の居間に設置してある見守りカメラで母の様子を見ていました。なぜ母はテレビをつけたまま、背を向けて横になっているのか? 

見守りカメラは24時間録画をしているので、10分くらい前から映像を確認してみました。すると母が照明のひもを引っ張ろうとしてバランスを崩し、畳の上で転倒。そのまま起き上がることができずに、横になっていたようでした。

カメラの映像だけでは母の状態が分からなかったので、実家に電話をしたのですが、母はどこが痛いのか、どういう状態なのかを、私にうまく説明できませんでした。

そこで実家から車で1時間近く離れたところに住んでいる私の妹に連絡。見守りカメラの映像で転倒の様子を確認してもらい、実家へ行ってもらうことになったのです。

妹は夜間診療の当番だった整形外科に電話をしたのですが、遅い時間のためレントゲン撮影はできず、翌朝に母を整形外科へ連れて行ったところ、左足親指の付け根の骨折が判明しました。

骨折は軽傷で、シーネと呼ばれるグラスファイバー製の添え木を左足にあて、包帯を巻いて安静にしていれば、3週間程度で治ると診断されました。

骨折よりも大変だった「認知症の母を安静に保つこと」

骨折よりも大変だったのは、認知症の母を安静に保つことでした。母は自分が骨折したことを忘れてしまい、違和感から何度もシーネや包帯を外しました。

しっかり足を固定しなければ、治りが遅れるばかりか、骨が変形する可能性もあり、今後の歩行に影響が出ます。そこで母がシーネを外さないよう、常に誰かが近くに居て、見守る体制を整えることにしました。

まずは母の担当ケアマネジャーに相談し、空いているデイサービスや夜間の見守りに対応できる施設を手配してもらいました。さらに妹が実家に泊まって母を見守り、デイサービスや妹の都合がつかない日は、私が東京から駆けつけて、母の見守りを行ったのです。

1ヶ月あたりの介護費用は9万円台から15万円台に増額

以前書いた記事「介護費用について親子で確認しておくことが必要な理由」で、1ヶ月あたりの介護費用の内訳を、下記のとおりご紹介しました。

・交通費(東北新幹線2往復、通院時のタクシー利用):48,000円
・★訪問介護(週6回)9,000円
・★訪問リハビリ(週1回):3,500円
・★デイサービス(週4回):32,000円
・★薬剤師訪問サービス(週1回):2,000円
・★手すりレンタル(5台):2,000円
合計 96,500円(★は介護保険サービス)

そして、母が骨折した月の1ヶ月あたりの介護費用の内訳は、下記のようになりました。

・交通費(東北新幹線2往復、通院時の介護タクシー利用):73,500円
・★訪問介護(不定期) 2,000円
・★訪問リハビリ(週1回):3,000円
・★デイサービス(2ヶ所、泊り含む):70,000円
・★薬剤師訪問サービス(週1回):2,000円
・★手すりレンタル(5台):2,000円
・車椅子レンタル:2,500円
合計 155,000円(★は介護保険サービス)

介護費用が約1.6倍に増えた理由

介護費用が特に増えた項目は、デイサービスと交通費でした。

以前から利用していたデイサービスは追加の利用ができず、夜間の見守りも対応していません。そこで新しく夜間対応もできる別のデイサービスとも契約したため、費用は2倍強となりました。

交通費が増えた理由は2つあって、1つは緊急で帰省するために、確保していた割引適用の東北新幹線の乗車日を変更しなければならなくなり、通常運賃になってしまったからです。また帰京の目途が立たない状況が続いたので、東北新幹線はすべて通常運賃で利用しました。

整形外科への通院は一般のタクシーではなく、介護タクシーを利用しました。母は車椅子を利用していたので、車椅子のまま乗車ができ、ヘルパーの資格を持った運転手による乗降介助がある介護タクシーのほうが便利だったのです。しかし、一般のタクシーよりも交通費は増えてしまいました。

骨折前後で1ヶ月あたりの介護費用を比較すると、約1.6倍増えました。しかし骨折は治りつつあり、今後の1ヶ月の介護費用は10万円前後まで下がると思われます。

このように突然のケガや病状の悪化などで、介護費用が増える場合もあります。ケアマネジャーと相談しながら介護費用を抑えつつ、急な出費にも備えておくべきだと実感しています。