G7声明から考える
G7(先進7ヶ国)財務相会議は10月12日、共同声明を発表した。その中で為替相場については、「我々は、2017年5 月の為替相場についてのコミットメントを再確認する」との表現が盛り込まれた。
わざわざ、6年以上も前のコミットメントが再確認されたのは奇異な感じがするかもしれないが、おそらく深い意味はないだろう。なぜなら、実はG7共同声明では、過去2年連続で同じ表現が使われてきたからだ。
その理由は、近年のG7財務相会議で為替相場への関心が強くないためだろう。今回もまさにそうだが、2022年以降のG7共同声明で主要な扱いになったのはウクライナ問題、それ以前はコロナ・パンデミックである。
さらにその前後は、仮想通貨、暗号資産をどのように位置付けるかという中で、為替への言及はやや「付け足し」の扱いになっていたということではないか。別な言い方をすると、それだけ関心が薄かったということだ。
特に今回の場合は、総文字数4000字近い長文の共同声明の中、「我々は、2017年5 月の為替相場についてのコミットメントを再確認する」という文章は、最後から2番目で登場した。
現在、為替に高い関心を持つ国はどこか
言葉は悪いが、皆が忘れていて共同声明で全く言及なしとなりそうだったところ、まさに「付け足し」で入れたようなイメージさえある。では、仮にそうであるなら、誰の提案だったかと言えば、今為替に関心が高いのはやはり日本と考えられるため、最後の最後で日本からの提案により付け足されたということではないだろうか。
仮にそうであるなら、日本がわざわざ自ら円安阻止介入にとって制約になるようなことを共同声明に盛り込むべく提案するだろうか。むしろ逆で、円安阻止介入がしたいなら、他のG7諸国が基本的に無関心なことを逆手にとって、円安阻止介入を正当化するような提案をするのが普通ではないだろうか。
以上からまず確認したいのは、そもそもG7全体のムードとして、ウクライナ情勢など懸案が多い中で相対的に為替相場に関心が薄かったとして、それに対し踏み込んだ意思を示す可能性は低いのではないかということだ。つまり、G7財務相声明は、日本以外では円安への関心も、基本的には低かったのではないかということである。(続く)