15日夕方、立憲民主党は岸田内閣に対する不信任決議案を16日に衆院に提出する方針を固めたと主要メディアが一斉に報じた。僕はこのニュースをある筋からつかんでいたが、ストラテジーレポートをアップする時間にはまだオフィシャルに報じられる前だった。だからレポートのタイトルに「解散総選挙」と入れて、本文のほうは『16日にも立憲民主党(以降、立憲)が内閣不信任案を提出、岸田首相はそれを「大義」として解散総選挙に打って出るとの見方が強まっている』としたのだった。
自民党にすれば「渡りに船」で、岸田さん自身は乗り気とは思えなかったが、党内の勢いに押されて解散するだろうと踏んでいたが、あっさりと解散見送り宣言だ。これには拍子抜けした。
まあ、冷静に考えれば、もともと可決されるはずがない不信任案を出したところで、単なる「ポーズ」でしかないのは誰もがわかることだ。それを「大義」としてしまったら、かえって自民党のほうが浅薄に映るというものだ。
急に解散風が吹いてきて僕もびっくりしたが、もともと「6月解散・7月総選挙」というのは日程的に難しいとされていた。4月に統一選を戦い終えたばかりの地方議員からすれば、7月総選挙だとまだ選挙疲れから回復できずに動きたくない。
しかし、今回は解散見送りとなったが、いずれはやるだろう。防衛費の増額や異次元の少子化対策の財源が明確でないままでは済まされない。国民に信を問うのはそこだろう。
大義はそれだが、本音は日本維新の会(以降、維新)の態勢が整う前に総選挙を実施したいのではないか。今回、立憲が、解散総選挙となれば自分たちが負けることはわかっていながら、それが呼び水になりそうな不信任案を出すのだって、時間が経てば経つほど維新に議席を奪われかねないという警戒心からのことだろう。
なので、解散総選挙はズバリ、秋だ。それならまだ維新も準備が整わない。自民党・総裁選の1年前であり前回衆院選(2021年10月)からちょうど2年。タイミングとしていい頃合いだ。
株式市場にとっても、「解散・総選挙で株高に弾み」という好材料が温存された格好だ。秋に「解散・総選挙」というカードがあれば、夏枯れの弱いところを、自信をもって仕込み時と捉えられるだろう。今回は肩透かしを食ったが、結果的に良かったと思う。