直近のJ-REIT価格動向

J-REIT価格は、米国での金融機関破綻の影響を受けて下落した。東証REIT指数は、3月20日に2021年1月以来2年2ヶ月ぶりに1,750ポイントまで下落。翌22日にはやや持ち直したが、1,700ポイント台の値動きが4営業日続く状態となっている。

個別銘柄の動きとしては、いちごオフィスリート投資法人(8975)、(以下いちごオフィス)に対し、スターアジア不動産投資法人(3468)のスポンサーであるスターアジアグループ(以下、SAG)が臨時投資主総会開催の請求を行っている。

投資主総会の目的は、いちごオフィスの運用会社に対する運用報酬体系の見直しに加え、SAG側が指名する執行役員と監督役員を増員する内容となっている。本件については、いちごオフィス側の対応が出た後に記載したいと考えている。

米国の信用不安がJ-REITの業績に与える影響は少ない

前述の通り、米国の信用不安によりJ-REIT価格は下落した。価格面では売買金額の5割以上を占める外国人投資家の影響は、今後も懸念材料として残ることになりそうだ。さらに3月末までは、金融機関をはじめとする国内機関投資家の決算期にも当たるため、当面のJ-REIT価格の値動きは弱含むこと可能性が高い。

一方で今回の米国の信用不安は、オフィスを含む商業用不動産の融資債権を証券化したCMBS(商業不動産担保証券)の金利上昇をもたらしているが、現状では米国の地銀2行の破綻に留まっている。

さらに米国連邦準備制度理事会(FRB)は、信用不安に対しあらゆる手段をとる用意があるとして、現地3月22日に0.25%の利上げを行っている。つまり信用不安は当面の間は投資家に漂うことになりそうだが、深刻化はしないと考えられる。

またJ-REIT市場では金融機関から借入は、メガバンク3行と信託銀行、日本政策投資銀行などの政府系金融機関が8割程度を占めている。従って、日本の一部地銀などに米国の信用不安の影響が及んでも、J-REITの資金調達への影響は少ないと考えられる。