52週MA、金利差との関係を確認

豪ドル/米ドルが、足元で0.69米ドルの52週MA(移動平均線)を大きく上回ってきた(図表1参照)。このような動きは、経験的には豪ドルがすでに0.61米ドルで底を打って、上昇トレンドへ転換した可能性を示している。

【図表1】豪ドル/米ドルと52週MA(2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

では、このまま豪ドル一段高に向かうかと言えば微妙な面がある。最近にかけての豪ドル高・米ドル安は、金利差からはかい離が目立っているためだ。例えば、豪米2年債利回り差豪ドル劣位はこの2ヶ月余りも目立って縮小したわけではない(図表2参照)。このように、金利差で正当化されないまま、一段と豪ドル高・米ドル安に向かうかは懐疑的ではないか。

【図表2】豪ドル/米ドルと豪米2年債利回り差(2022年5月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

豪ドル/円は、そんな豪ドル/米ドルと対照的とも言えそうな状況となっている。豪ドル/円は、足元で91円程度の52週MAを一時大きく割り込んだことから、すでに見てきた豪ドル/米ドルとは逆で、豪ドル下落(円高)へのトレンド転換の可能性が高まってきた(図表3参照)。それでは一段と豪ドル安に向かうかと言えば、それが微妙と思われるのは、金利差から見ると豪ドルが「下がり過ぎ」の可能性があるためだ。

【図表3】豪ドル/円と52週MA(2008年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

日豪2年債利回り差は、この数ヶ月大きな変化は見られなかった。その意味では、この2ヶ月余りで大きく下落した豪ドル/円は金利差で説明できるものではなく、金利差との関係からすると一時90円も大きく割り込んだ豪ドルは「下がり過ぎ」の可能性があった(図表4参照)。

【図表4】豪ドル/円と日豪2年債利回り差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上を整理すると、豪ドルは対米ドルでは上昇トレンドに転換した可能性があるが、金利差との関係を見ると目先的には「上がり過ぎ」の可能性がある。一方で対円では豪ドル下落トレンドへ転換した可能性が高まってきたが、金利差との関係から目先的にはむしろ「下がり過ぎ」の可能性がある。

このような状況をもたらしている一因として、直感的に浮かぶのは、金利差から見た米ドル安・円高の行き過ぎということ。そうであれば、行き過ぎの修正により、米ドル高・円安に戻す局面で、豪ドル/米ドルと豪ドル/円の対照的な関係も修正に向かうことになるのではないか。