ゴールドマン・サックスなど金融大手は再びコモディティに強気

ゴールドマン・サックス・グループ(以下、ゴールドマン・サックス)が再びコモディティに強気です。ゴールドマン・サックスは2023年、再びコモディティ(商品)のパフォーマンスが最良の資産クラスとなり、43%のリターンをもたらすだろうとの予想を公表しました。

遡ること3年前の2020年に、ゴールドマン・サックスやJPモルガンといった金融大手がコモディティ(商品市場)のスーパーサイクルを予想するレポートを公表しました。

実際、ゴールドマン・サックス・コモディティー・インデックス(GSCI)は2020年から2021年にかけ上昇を継続、2022年にロシアがウクライナに侵攻するとコモディティ市況は一段高となり、コロナショックの安値から3倍あまりに跳ね上がりました。

しかし、その後は原油を始め、天然ガス、銅、木材など急騰した商品は大きく値を崩し、2022年後半にはスーパーサイクルという言葉はすっかり忘れ去られたかに見えましたが、なぜ再びコモディティなのでしょうか?

中国リオープンと金融政策の転換

2022年にコモディティ市況が大きく崩れた最大の理由は、中国の長引くゼロコロナ政策でしょう。中国の経済活動が止まっていたことが商品市況の需給をだぶつかせました。また、米国が急ピッチで利上げを実施したことによるリスクマネーの逆流と景気後退懸念が商品市場からの資金流出を加速させました。

2023年はコモディティ価格を押し下げてきた、これらの材料が真逆に転換することがコモディティ価格を押し上げるとの予想につながっています。中国はゼロコロナ政策を転換、経済の正常化に舵を切りました。これを好感し、景気の先行指標とされる銅価格も上昇を始めています。

また、米国の利上げは最終局面にあり、金利先物市場はすでに年内の利下げを折り込んでいます。利下げを迫られるような景気後退が来れば、商品市況には逆風と見る向きもありますが、金融政策が引き締めから緩和に転換すれば、再びリスクマネーがコモディティ市場に回帰する可能性もあるのです。

コモディティが再上昇するなら資源国通貨も上昇か

2023年の為替市場において、米ドル/円相場の最大の注目事項は日銀の金融政策の転換ですが、同時に2022年の最強通貨であった米ドル上昇が本当に終焉したかどうかという点も重要です。

通常、高インフレであれば、その国の通貨は売られていますが、2022年の為替市場では高インフレであった米国の通貨である米ドルが強かったのです。

足元でインフレの鈍化が鮮明となってきたことで米国の金利の上昇圧力が低下し、2023年は米ドル安が市場のテーマとなる可能性が指摘されています。ただし、コモディティ市況が再び上昇に転じれば、インフレの再加速が米ドル金利を上昇させる可能性も否定できず、その場合はやはり米ドル高基調が続くという可能性もあります。

年間を通じて、マーケットは同じテーマで動き続けることはありませんので、コモディティ市況と米ドル金利動向の関係を見ながらになります。しかし、米ドル安基調が鮮明となった場合は、コモディティ高の恩恵を受ける資源国、豪ドル(AUD)、カナダ・ドル(CAD)、ブラジル・レアル(BRL)、メキシコ・ペソ(MXN)、南アフリカ・ランド(ZAR)などの通貨の上昇が期待できる1年となりそうです。