米国株の史上最高値更新など、陶酔ムードだった2022年

2022年を振り返ると「米国株が史上最高値を更新」と1月3日の初日から好調なスタートでした。「アップル(AAPL)が一時3%上昇し、2021年第4四半期の出荷台数が市場予想を上回ったテスラ(TSLA)が13.5%高と急伸」というニュースも飛び交いました。

しかし、それ以降、史上最高値更新という言葉を一度も聞くことはありませんでした。そのような当時を思い出します。2022年2月1日付けのコラム「NYダウ平均は新値足が先に陽転へ」の中で、2022年1月4日付けの日本経済新聞による『アップル、時価総額3兆ドル』という表題のネット記事をとりあげ、最後に一言書いた内容が以下です。

3兆ドルというと、今の米ドル/円相場(1ドル=115円で換算)で約345兆円。記事の中身にも書いてありましたが、東証1部上場の時価総額749兆円(1月4日時点)の半分に迫る勢いです。テスラを合わせると、6割を超えてしまいます。当時、この2社の株価が下落し出したらどうなるのだろう、と考えるだけで恐ろしくなった記憶がありますが、このような記事が出ること自体、陶酔感ありの状況だったといえそうです。

この1年間を振り返ると、「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」という相場の格言通りでした。そして、2023年初取引終了後に見かけたヘッドラインが「アップルの時価総額2兆ドル割れ」「テスラ株が一時14%下落」でした。

2023年、市場は悲観ムードからいかに変化するのか

2022年は市場の「陶酔」ムードが買われ過ぎの売りサインとなりました。2023年はこのヘッドラインを「悲観」と捉え、売られ過ぎの買いサインとみるべきなのでしょうか。

私は株式市場と30年以上付き合ってきましたが、このようなヘッドラインの「フシ」というものはあるような気がします。ある意味、逆張りで使えるセンチメント指数です。

いずれにしても、2022年の弱気相場の要因は、インフレと金融政策、景気減速、ウクライナ情勢などいろいろありましたが、結局は皆が持っていたアップルやテスラなど巨大ITハイテク株の値崩れが、市場全体の戸惑いとなった点が大きいと思います。

2023年はその影響が一巡するのか、逆に大きく出るかで相場全体に真逆の力が生じるでしょう。