高配当銘柄は増加傾向へ
高配当利回り銘柄への関心が高まっている。一昔前なら、配当利回りが5%という銘柄は稀有な存在だったが、株主還元を進める企業が増加していることで、今では珍しくなくなっている。
日本経済新聞によれば、2022年4~9月期決算で、全体の11%にあたる約250社が2023年3月期の配当予想を上方修正。この結果、今期は3社に1社が増配を見込み、配当総額は前期比6%増の14兆円超と過去最高になる見込みだという。
株式投資といえばキャピタルゲイン(売却益)狙いが主流だったが、配当金額の増加はインカムゲイン(配当収益)への比重が高まってきていることを意味する。
現在のNISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、配当金に対する20%の税金が免除され、配当収益はそのまま手取り額となる。現在のNISA(2023年まで)は一般NISAが年間120万円、非課税期間は5年間となっている。
高配当利回りの投資の注意点
高配当利回りへの投資にはいくつか注意点がある。配当性向(利益のうち配当に配分する割合)を決めている企業は、減益になれば即減配になることを意味する。また、配当利回りが高くても利益が横ばい継続であれば、株価の値上がりが期待できない。増配も望み薄だ。
その一方、直近であまり配当利回りが高くなくても、利益成長とともに増配してきている銘柄は、長期保有することによって高い利回りになる可能性が高い。また、株価の上昇も期待できることが想定される。
新しいNISAの活用で、より注目度を増す高配当利回り企業
2023年以降、高配当利回りの企業が一層注目されることになりそうだ。2024年1月からは新しいNISAがスタートするためだ。新NISAでは毎年つみたてNISAに120万円、成長投資(旧一般NISA)に240万円、合計360万円まで非課税で投資することができる。
非課税期間は「無期限」となる。生涯投資枠の上限は1800万円(成長投資の上限は1200万円)。しかも、新NISAでは生涯投資上限は維持される。累積で1000万円投資し、何らかの理由で売却してもその枠は維持されて、次に利用することが出来る。現行のNISAは売却した時点で枠がなくなる。
参考までに高配当利回り、連続増配、配当高成長銘柄に該当する銘柄をピックアップしてみた。
三菱HCキャピタル(8593)
三菱UFJフィナンシャルグループの総合リース会社。2021年に日立キャピタルと統合。海運需要の増加で海上コンテナリースが伸び、2024年3月期は営業利益が連続最高益更新の見込み。2023年連続増配で年31円配当。利回りは4%台後半。
双日(2768)
大手総合商社の一角。日商岩井とニチメンの統合で発足。当初は財務基盤が見劣りしたが、ここ数年で筋肉質に変貌した。航空機、肥料、木材や米自動車事業に強みがある。石炭や鉄鋼が順調で純利益が2023年3月期に最高益になった。連続増配で年130円配当。配当利回りは5%超と高水準。
日本特殊陶業(5334)
自動車用プラグで世界首位。酸素センサーなど自動車用センサーにも展開。半導体セラミックパッケージでも業績を上げる。2023年3月期は自動車関連が半導体不足の解消で回復。ICパッケージも順調で営業利益が大幅増益へ。年166円配当。利回り6%台半ば。
大和工業(5444)
鉄スクラップから鉄をリサイクルする電炉の大手。海外展開に積極的で、タイのほか、持ち分法適用で米国、中東、韓国などにも展開。2023年3月期は米国の活況などで経常利益が大幅増。年300円配に増配。利回り6%台半ば。2024年3月期も配当高水準が見込める。
エクシオグループ(1951)
NTT向け工事など電気通信工事の大手。光ファイバー、移動体通信工事などに注力している。2023年3月期は顧客のドコモの投資抑制が響き減益予想だが、連続増配へ。年102円配当。来期は5G基地局工事拡大などで増益転換が有望視されている。EVバイク用バッテリー交換所の設置・保守事業に参入。利回り4%台半ば。
オープンハウスグループ(3288)
東京23区など都心部の狭小地での戸建て住宅販売に強みがある。土地の仕入れから企画、設計、建築までを一貫して展開することでコスト低減、販売力にも定評がある。2023年9月期も戸建て、マンションともに伸び、営業大幅増益の見通し。2013年の株式上場以降は毎期連続増配、しかも増配幅が加速している。今期は154円配(うち特別配当10円)。利回りは3%台前半。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。